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リユースの進捗

3.第一次3R推進自主行動計画におけるリユースの取り組み(2006年~2010年)

※5年間のまとめの情報はここをクリックしてください

 第一次3R推進自主行動計画では、対象8素材の内、ガラスびんとPETボトルの2素材については、全8素材の共通項目であるリデュース・リサイクルに加え、リユースの取り組みとして「リターナブルシステムの調査・研究を行う。」こととしました。

 しかしながら、古くからビール壜・一升壜・牛乳壜などでリターナブル容器の実績のあるガラスびんとは異なり、日本ではリターナブルPETボトルが普及していないため、第一次自主行動計画では、日本におけるリターナブルPETボトル導入の可否を判断するための調査・研究が主体となりました。

2010年度までの5年間の目標(2006年3月公表)

2010年度までの5年間の目標(2006年3月公表)

※PETボトルの第一次自主行動計画の詳細は PETボトルリサイクル推進協議会の自主行動計画とその活動について参照

年度ごとの進捗概要

◆2006年度

・2006年7月にリターナブルPETボトル分科会を立ち上げ、国内外のリターナブルPETボトルの衛生性、安全性に関する文献を分析し、2007年3月に中間報告書を作成しました。
・2007年3月末に、リサイクル実態の調査研究の一つとして、ドイツを主体とした欧州でのリターナブルボトルの実態を調査すべく、欧州技術調査団を派遣しました。

  1. 1すでに実用化されている欧米で実態調査を実施
  2. 2現在までの安全性に関する調査を実施

◆2007年度

2008年3月に環境省の「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」に参加し、国内外のリターナブルPETボトルの経緯を示し、安全性が確保できない現状ではリターナブルPETボトルを導入することは非常に難しいとの意見を述べました。

■環境省が主管する「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」に参加

  1. 1リターナブルPETボトルの海外動向の調査研究の実施
  2. 2PETボトルのリユースについての業界スタンスの提示
  3. 3今後の研究課題

◆2008年度

環境省主管の「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」に参加し、データ提出等に協力して、次の結果を得ました。

■環境省が主管する「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」に継続参加

  1. 1リターナブルPETボトルの消費者誤用実験結果
    消費者が不適切に有害な物質を使用(誤用・転用)した場合の安全性の検証として、代理汚染物質を用いた洗浄試験とその後の溶出試験を行いました。結果、PETボトルの内壁に代理汚染物質が収着し、設定した許容限度を大幅に超えて残留しました。また、内容物(水等)を充填した場合、溶出物の濃度が設定した許容限度内に収まりませんでした。よって臭気物質感知器(スニッファー)による選別が不可欠と報告されています。
  2. 2 PETボトルのリユースによる環境負荷分析
    2LミネラルウオーターのCO2排出量のワンウェイとリユースのシナリオ間比較であり、そのLCA(環境負荷)では以下の結果が確認されました。

リユースとワンウェイPETボトルのCO2排出量
(出所)環境省「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」第7回資料

<リユース条件と回収率>

  1. 1オープンシステム(店頭販売)については、85%~90%といった高い回収率を確保することが全体的には難しいため、ワンウェイ(現行リサイクル)の方が、環境負荷が小さい。
  2. 2クローズドシステム(宅配販売)については、90%以上の高い回収率と輸送距離を100km未満等に限定すれば、リユースの方が、環境負荷が小さい。

リユース条件と回収率
(出所)環境省「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」第7回資料

  1. 3ライフサイクルコストの分析
    幅のあるコスト比較ではありますが、ワンウェイPETボトルのコストが優位の傾向となっています。
    当推進協議会では、従来からオープンシステムでのPETボトルのリユースは、安全・安心の確保が難しく、環境負荷も大きいとの見解を示してきましたが、今回の取りまとめにて同様の結果が示されました。
    また、ワンウェイPETボトルの環境負荷低減には、リサイクル率の向上と軽量化の推進が効果的であることが、LCA(環境負荷)の結果より明らかとなりました。

■海外動向の調査研究

下図はドイツでの清涼飲料のリターナブル容器とワンウェイ容器の販売構成(2001年~2008年)です。
2003年の72%強制デポジット法の施行によりリターナブル容器の比率が高まりましたが、その後、PETボトルの伸長により、2008年にはワンウェイ容器の比率が73.4%(ワンウェイPETボトル63.9%)まで増加しています。

ドイツでのノンアルコール飲料の容器構成
(出所)GfKコンシューマースキャン

◆2009年度

当推進協議会による消費者誤用実験の結果と考察を2010年度年次報告書に掲載しました。

  1. 1代理汚染物質による汚染PETボトルと洗浄後のPETボトル壁への残留量調査分析を実施しました。
    分析結果はPETボトル胴部の一定量を切り出してサンプリングした重量を基準にして算出しました。それぞれの分析値は未洗浄と洗浄したものの比較であり、残留量は洗浄条件(苛性濃度・洗浄温度)によって減少してはいますが、高い残留(収着)が認められました。

PETボトル 汚染物残留値

  1. 2代理汚染物質の溶出調査としてPETボトルとガラスびんの比較調査を実施しました。
    (85℃で純水を充填した各サンプルを40℃の恒温槽に7日間保管し、その後PETボトル内の水を採取して、充填した水中に溶出した各成分を分析)未洗浄のボトルからの溶出量は、ベンゾフェノンが高い値を示し、トリクロロエタンが低い値を示しました。洗浄後のボトルからの溶出量は、材質分析の結果と同様に洗浄により減少し、ガラスびんの方が低い値となりました。また、ガラスびんは、洗浄後では全て検出限界以下まで除去されている事が確認されました。

汚染物質溶出量

≪考察≫
以上の結果からリターナブルPETボトルが、誤用された場合は高度な洗浄を駆使しても汚染物質がボトル内壁に残留し、中味を充填した場合は汚染物質が溶出するため、PETボトルのリユースは誤用の可能性がある限り、難しい状況にあります。逆に、ガラスびんはリユースに適した容器だと言えます。

◆2010年度

「リターナブルPETボトルを考える」をとりまとめ、当推進協議会ホームページで公表しました。

 リターナブルPETボトルを考える

  1. 1はじめに
  2. 2欧州におけるリターナブルPETボトル導入経緯と現状
  3. 3日本におけるリターナブル容器とワンウェイ容器の推移
  4. 4PETボトルのリターナブル容器としての問題点
  5. 5日本でのリターナブルPETボトル実用化の可能性について

リターナブルPETボトルを考える

●2006年度~2010年度(5年間のまとめ)

■リユースボトルの調査・研究結果
環境省主管の「PET ボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」に参画し、次の結果が得られました。

  1. 1環境負荷(CO2 排出量)について.
    ワンウェイPET ボトルはリユースPET ボトルに比べ、90%以上の高回収率で短い輸送距離(100km未満)のクローズドシステム(宅配等)を除いて、環境負荷が小さい。
  2. 2リユースPET ボトルの誤用実験について.
    代理汚染物質を入れ、洗浄した結果、PET ボトルの内壁に汚染物質が収着し除去できなかった。またこれに内容物を充填した結果、汚染物質が許容限度を超えて溶出することが認められた。
    また、比較調査を行ったガラスびんでは、洗浄後において全て検出限界以下まで除去されていることが確認された。

■当推進協議会としての結論
上記の結果から、リユースPET ボトルが誤用された場合は、高度な洗浄を駆使しても汚染物質がボトル内壁に残留し、中身を充填した場合に汚染物質が溶出するため、PET ボトルのリユースは誤用の可能性がある限り、難しい状況にあります。
一方ガラスびんはリユースに適した容器であるといえます。

※1.はじめに(PETボトルのリユースとは)はここをクリックしてください

※2.3R推進自主行動計画策定以前のリユースの取り組み(2005年度まで)はここをクリックしてください

※4.第二次3R推進自主行動計画(2011年度~2015年度)のリユースの取り組みはここをクリックしてください

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