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PET樹脂の特性

PETボトルの原料はポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethyleneterephthalate)という、石油からつくられるテレフタル酸とエチレングリコールを原料にして、高温・高真空下で化学反応させてつくられる樹脂のひとつです。PETは1941年にイギリスのJ.R.Whinfieldらによってその製法が見出され、1948年にポリエステルとして市場に登場しました。以来、合成繊維やテープ素材など幅広い用途に用いられています。

PETの化学式

PET樹脂の主な特徴は次のとおりです。

  1. 1)PET樹脂は、主に炭素、酸素、水素から構成されています。約1/3が空気を原料とする酸素で占められており、他のプラスチックに比べて石油依存度が低い樹脂といえます。
  2. 2)他のプラスチックに比べて炭素より重い酸素が多いことから、密度が水より重く沈みます。
  3. 3)PET樹脂は、酸素分を多く含むことから、燃焼時の発熱量が低く紙と同水準であり、例えばポリプロピレン(PP)の約半分となっています。このため、容器包装リサイクル法以前では、焼却炉を傷めないことから、燃やせるプラスチックということでごみの助燃材として珍重された経緯があります。今では、焼却炉の性能が飛躍的に向上して、一般のプラスチックが焼却可能となっていますが、発熱量の低いPET樹脂はエネルギー回収よりも素材としてのリサイクルに向いていると言えます。

また、製品としてのPETボトルを見た場合、ラベルやキャップには以下のように別素材が利用されています。PETボトルを構成する各部材の樹脂の特性の例を下表に示します。

1)  ボトル本体

PET樹脂単体

2)  キャップ

PPまたはPE製(比重1未満のプラスチック)

3)  ラベル

シュリンクラベル(PS、PET)、ロールラベル(PP、R-PET)、ストレッチラベル(PE)、
紙ラベル・タックラベル等

下表では、PET樹脂でできたボトル本体の比重が水より大きいのに対し、PPでできたキャップの比重は1未満となっています。これは、リサイクルの際にボトル素材とキャップ素材を水での比重分離にて容易に分離できるようにするためで、「自主設計ガイドライン」 にて定めているものです。

表 PET樹脂とその他の樹脂の特性

樹脂

ポリエチレンテレフタレート
PET

ポリプロピレン
PP

ポリスチレン
PS

使用部位

ボトル本体

キャップ

ラベル

主な原料※
(樹脂1トン当たり)

炭化水素系(トン)

0.762

1.001

1.001

空気(t)

0.416

0.061

密度(g/cm3

1.38

0.90

1.05

燃焼時発熱量(kcal/kg)

約5,500

約10,500

約9,600

石油製品のLCIデータ調査報告書(1997/7:社団法人プラスチック処理促進協会)より抜粋

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