2002年度PETボトルリサイクルの現状
市町村の分別収集が着実に拡大し回収率は順調に推移
PETボトルの回収率は着実に上昇
 PETボトルのリサイクルは、「容器包装リサイクル法」のもとに進められています。もともとはゼロからの出発で、国内外の実態調査、事業化調査、モデル収集事業、モデル再商品化施設の建設、再生用途の開発、PETボトル自主設計ガイドラインの制定等々PETボトル協議会が中心となり、20年前から取り組んできました。
 1997年からは「容器包装リサイクル法」がPETボトルにも適用されたことによって、一般廃棄物の減量化と資源の有効利用促進を図る循環型社会の構築に向けた全国的な取り組みへ変わってきました。同法の施行後は、PETボトルのリサイクル事業は着実に進んでいます。
 法施行前は、一桁に過ぎなかった回収率が、ここ数年は年々急伸して、2002年度の市町村による回収率は45.6%と2001年度の40.1%を大きく上回りました。極めて順調にリサイクル事業が進んでいることがわかります。
 また同時にPETボトルの分別収集を実施している市町村数も2,747となり、(2003年3月末)、全国市町村数の84.9%まで増加してきました。
 以下に、回収率の進捗状況をグラフとして整理してみました。
PETボトルのリサイクル概況
PETボトルのリサイクル概況(数表)
単位:千トン(量および能力)
実績 予測
(分別収集量は計画)
1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度
PETボトル用
樹脂生産量
219 282 332 362 403 413 416
伸び率(%) 127 129 118 109 111 102 101
分別収集量 21 48 76 125 162 188 214
市町村回収率(%) 9.8 16.9 22.8 34.5 40.1 45.6 51.4
再商品化能力 18 30 47 102 155 247 292
分別市町村数 631 1,011 1,214 2,340 2,617 2,747 3,027
(出所) PETボトル用樹脂生産量・伸び率はPETボトル協議会資料。
分別収集量・分別市町村数は環境省資料。
市町村回収率は市町村による分別収集量÷PETボトル用樹脂生産量。
※ただしPETボトル用樹脂生産量、分別収集量では千トン未満を四捨五入してあるため、数値が若干上下している。
再商品化能力は経済産業省資料。
容リ法のもと、世界最高水準の回収率をキープ
 PETボトルのリサイクルは、容器包装リサイクル法のもと順調に進んでいます。
 分別排出時には、キャップをとり、中身が残らないように軽く水洗して異物を混入させないことが大切な注意点です。このことが、きれいなPETボトルを集めることになり、より品質の良い再生樹脂ができます。
 分別収集されたPETボトルは、市町村などの中間処理場で圧縮してこん包されたベール※1)にします。このベール品の品質がリサイクルのポイントです。非常に良いと評価できる、いわゆるAランク品は、トン数構成比で2002年度は70.1%でした。調査を開始した1998年度の35.8%と比較すると、ベール品の品質改善が格段に進んでいます(「ベール品の品質向上」参照)。

 日本のPETボトルリサイクルが進んでいることは、海外のリサイクルデータと比較すれば明らかです。
 分別収集量と生産量の比率を回収率と呼びます。この回収率データを日本、米国、欧州(EU)間で比較してみます。
 日本の回収率は毎年急速に上昇しており、2002年度の実績値は45.6%と2001年度の40.1%を大きく上回りました。さらに、確認できた事業系回収量32千トンを加えると、回収率は53.4%となりました。
 一方米国では、2001年の22.1%から2002年には19.9%になりました。欧州は2001年の20.7%(推定)から25.0%(推定)へ上昇しています。日本のPETボトルの回収システムは欧米に遅れてスタートしましたが、短期間のうちにその回収率は世界の最高水準に達しました。
※1) ベールとはPETボトルを圧縮・こん包したもの(「リサイクルフロー(1)マテリアルリサイクルによる〜」、「ベール品の品質向上」参照)。
日米欧のPETボトルリサイクル状況比較
(出所)○日本=PETボトル協議会 ○米国=NAPCOR資料 ○欧州=PETCORE資料
廃棄に回っている量は減少の傾向
 廃棄されているPETボトルの量を、生産量と収集量の差をもって推し量ると、1999年の256千トンをピークとして2000年以降は減少傾向を示しています。
 特に2002年の廃棄量は対前年比マイナス14%以上の大幅な減少となりました。これは、市町村による分別収集の進展と合わせて、事業者等による回収の実態が徐々に明らかになってきたことによります。
 推進協議会が2001年から事業系回収について精査を進めた結果、市町村分別収集以外の部分は、すべてごみとして廃棄(焼却・埋立等)されているわけではなく、むしろかなりの部分がリサイクル(輸出も含む)されているのではないかという確信が強まっています(「樹脂の動向 PETボトル用樹脂の〜」、「事業系回収PETボトルの確認・検証」参照)。
PETボトルの廃棄量(生産量と収集量の差)推移
(出所)PETボトルリサイクル推進協議会 
※廃棄量の内訳は「樹脂の動向 PETボトル用樹脂の〜」の※2参照
※廃棄量=PETボトル用樹脂生産量−市町村分別収集量
※2001年より事業系回収量も控除した数字
 (2001年:16千トン、2002年:32千トン)
PET飲料は伸長、PET樹脂量はボトル軽量化で安定
 PETボトル用途の約90%以上を占めるPETボトル清涼飲料の生産量の伸びは順調であり、1997年から2001年までは一貫して毎年10%以上の増加傾向にありました。2002年は、茶系飲料の需要拡大やホット対応ボトルの開発などによって、対前年比+7.3%(容量ベース)と相変わらず高い伸び率を示しており、ボトル本数で見ても同様に伸びています。
 一方で、2002年のPETボトル用樹脂生産量は対前年比+2.4%と伸び率は安定化を見せています。
 これはリデュースを推進するべく、業界をあげてPETボトルの軽量化に取り組んだ結果、全体として飲料容量1リットルあたりのボトル重量を対前年比で4.3%軽減できたためです。個別の具体例としては、500mlボトルで従来の32gから26gに(軽量化率18.8%)、1,500mlでは従来の59gから55g(軽量化率6.8%)に軽量化したことなどがあげられます(「リデュース(樹脂使用量削減)として〜」参照)。
PETボトル用樹脂の用途別生産量推移(上:グラフ、下:数表)
※暦年ベース(1月〜12月) ※輸入品を含む
(出所)グラフ、数表ともPETボトル協議会
単位:トン
用途 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年
指定表示製品 清涼飲料 194,748 258,793 308,222 338,654 380,372 391,126
しょうゆ 13,222 12,900 12,501 12,829 11,265 12,076
酒類 10,836 10,234 11,479 10,461 11,090 9,363
小計 218,806 281,927 332,202 361,944 402,727 412,565
その他 洗剤、シャンプー 12,807 10,657 9,630 9,443 5,998 5,022
食用油 1,461 1,511 2,079 2,487 3,264 2,734
調味料 10,565 11,489 14,267 13,653 12,838 12,654
化粧品 3,590 4,787 6,149 6,524 7,310 5,865
医薬品、その他 4,500 3,528 6,159 7,345 10,643 7,033
総合計 251,729 313,899 370,486 401,396 442,780 445,873
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●PETボトルリサイクル年次報告書