はじめに
2002年度は回収率※1)53.4%に  
 2002年度のPETボトルの市町村分別収集量188千トン、および確認された事業系回収量※2)32千トンを加算すると、回収率は53.4%(市町村回収率は45.6%)になりました。
 PETボトルの分別収集を実施している市町村数も2003年3月末現在で2,747市町村と全国の84.9%まで増加してきました。PETボトルのリサイクルは、1999年には収集量に対して再商品化能力が不足するというミスマッチ問題も発生しましたが、翌年には課題も解消し、2002年度も引き続き、分別収集されたPETボトルはすべて再商品化されました。
 なお、事業系回収量については2001年度に引き続き、PETボトルリサイクル推進協議会(以下、推進協議会)※3)が独自に調査を実施し、把握した数量については、監査法人(株)中央青山サステナビリティ認証機構に第三者検証を受けています。
 
※1) 2001年まで使用していた「リサイクル率」は、経済産業省主催の資源循環指標調査検討委員会(2002年6月、報告書『資源循環指標策定ガイドライン』を公表)で、「回収率」と呼称を統一することに決まりました。ちなみに、欧米のPETCORE(PET Container Recycling Europe)、NAPCOR(National Association for PET Container Resources)の資料も日本と同様に、回収率=収集量÷生産量または消費量です。
※2) 事業系回収量とは、市町村の分別収集以外に、事業者(スーパー、コンビニ、鉄道会社、他事業者等)が自主的に回収し、リサイクルするために再商品化事業者に渡したもので、推進協議会が独自に調査を実施(第三者機関に数量把握を委託)し、監査法人による監査を受けた数量です(「樹脂の動向」、「事業系回収PETボトルの確認・検証」参照)。
※3) PETボトルリサイクル推進協議会とは」参照。
取り扱いやすく安全な容器として約20年。
ボトル to ボトルを目指して
 
 PETボトルは、
(1)開栓しても再栓性(リキャップ性)があり、安全で衛生的
(2)軽くて持ち運びや取り扱いが便利
(3)透明で中身が見えて安心でき、外観も美しい
(4)落としても割れない

といった、容器としての優れた特長と価値を有しています。
 日本では1977年からしょうゆ用、1982年から清涼飲料用、1985年から酒類用に利用され始めました。
 そうしたPETボトルのリサイクルを普及・促進するための広報活動、調査研究、事業の支援などを目的として、推進協議会が1993年に結成されました。PETボトルを利用する中身メーカー5団体と容器および樹脂メーカーの団体であるPETボトル協議会の計6団体で構成されています。
 推進協議会の重要な課題の一つは、将来のリサイクル事業の発展・安定化のために、主として繊維およびシート用途に再利用する現在のマテリアルリサイクルに加え、食品用ボトルに再び戻す(再利用する)化学分解法によるリサイクルで「ボトル to ボトル」※4)の2003年度実用化を図っていくことです。
 
※4) ボトル to ボトルの実現が目前」、「リサイクルフロー(2)化学分解法〜」参照。
容器包装リサイクル法により順調にリサイクル活動を推進  
 1997年4月から「容器包装リサイクル法※5)」がPETボトルに適用され、本格的なリサイクル活動に入ってから6年間が経過しました。消費者、市町村、関係省庁、関係団体、再商品化事業者、再商品化製品利用事業者などのご協力を得て、PETボトルのリサイクルは着実に成果を上げ、今や世界最高水準の回収率となりました。  
※5) 容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律):容器包装廃棄物の分別収集、再商品化を促進するため、1995年6月に制定。
1997年4月よりPETボトルとガラスびんについて、事業者の再商品化義務が生じ、市町村による分別収集も広く行われるようになりました。分別収集の対象となるPETボトルは、清涼飲料用、しょうゆ用、酒類用、乳飲料用(2002年度に乳等省令が改正されました)の4用途です。これらを「指定PETボトル」といいます。再商品化義務の履行は、事業者が(財)日本容器包装リサイクル協会に委託して行っています。
(財)日本容器包装リサイクル協会は、容器包装リサイクルの推進のため1996年に設立され、主務4省(当時の厚生省、通商産業省、大蔵省、農林水産省)から「指定法人」として指定を受けている財団法人です。
PETボトルの軽量化によるリデュースの進展と
新しいリサイクル手法であるボトル to ボトルの推進
 
 推進協議会では、リサイクルの啓発活動を積極的に推進し、次のような成果を上げることができました。

(1) リデュースとしてPETボ トルの軽量化を推進
(2) 新しいリサイクル手法であるボ トル to ボ トルを推進するべく、安全衛生性および安心性確保のための国内外の基準や評価方法等を検討
(3) リサイクルしやすいPETボ トル作りのために「自主設計ガイドライン」に従い着色ボ トルの廃止を実施するなどして、リサイクルの効率が向上

 また、市町村、再商品化事業者などの実態調査を行い、リサイクルシステムに関してさまざまな活動を行っています。
 広報活動としては、市町村のリサイクル施設などに対し、サンプルとして、フレーク、ペレット、再利用品を、また広報ツールとして、ポスター、広報誌『RING』、『PETボトル再利用品カタログ』やビデオを提供しています。
 さらにホームページで、広くPETボトルリサイクルへのご協力を呼びかけています。
 
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 PETボトルのリサイクルが本格的活動に入って7年目になり、推進協議会は
2001年度版より3回目の「PETボトルリサイクル年次報告書2003年度版」をとりまとめました。
 関係者の方々にご活用いただければ幸いです。
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●PETボトルリサイクル年次報告書