■再商品化施設の処理能力は充実 | ||
推進協議会の会員団体であるPETボトル協議会は、1993年に民間企業と共同出資して、日本初の大型再商品化施設を栃木県に建設し、以後数年にわたりPETボトル協議会の多くの会員会社が技術陣を派遣して数々の技術的困難を解決しました。 その後、多くの企業が再商品化事業に参入し、2003年度には、PETボトル再商品化施設は59社、72施設※2)となりました。処理能力は292千トンにまで増えています。 これは、いままでの繊維・シート用途を主体にしたマテリアルリサイクルによる再商品化事業者の漸増に加えて、新規に化学分解法によるリサイクル手法で規模の大きな事業者が参入したことによります。容器包装リサイクル法に基づく市町村による指定PETボトルの分別収集量に比べ、再商品化施設の処理能力が上回ることとなり、さらなる分別収集量の増大が今後の重要な課題になりつつあります。 |
■さらなる広がりを見せる再利用品 | ||
分別収集されたPETボトルは、ベールにこん包されて再商品化工場へ運ばれ、異物除去、粉砕、洗浄などの工程を経て再生PET樹脂になります。 (財)日本容器包装リサイクル協会が取り扱ったものの利用先における再生樹脂の使用数量は2001年度の94,912トンから2002年度は112,485トンへと119%の伸びを示しています。 再生樹脂の用途(右ページ上の図およびP14「再利用品の製品・需要開発」参照)では、繊維製品とシート製品への利用で全体の9割以上を占めます。 繊維製品の需要は最も多く、全体の約5割を占めています。制服・作業服、作業手袋、カーペット、カーテン、傘などのほか、不織布※3)(自動車の内装材、名刺、水切り袋)、遮水シートなどの産業用資材、ゴミ置き場ネットなどに利用され、2002年度は対前年比121%と順調に増加しました。 シート製品は主に卵パックや果物、カップめんなどの仕切トレーあるいは文房具などとして利用されています。 シート製品は、1997年度には再利用品全体の1割強に過ぎませんでしたが、2002年度には全体の約4割を占めるまでに急成長しています。 成形品・その他では、ハンガー、プランター、文房具、看板、下水道などのふた、PETボトル用陳列トレー、あき容器回収ボックス、結束バンド、塗料用原料、分別収集用ごみ袋など多岐にわたっています。 |
|
●再利用品の用途別推移 | ||||
|
■グリーン購入法が本格施行へ、推奨マークの申請は高水準 | ||
2001年度よりグリーン購入法※4)が施行され、国等の機関が率先して再利用品などの調達を推進することになりました。 PETボトルからの再利用品では制服・作業服、作業手袋、カーペット、カーテン、毛布に加え、ふとん、マットレスも指定され、調達の対象品目になっています。 地方公共団体にも国に準じた努力義務があります。環境にやさしいリサイクル再利用品の需要が一層増加しています。 PETボトル協議会による上記のような「PETボトルリサイクル推奨マーク(登録商標)」(「「PETボトルリサイクル推奨マーク」について」参照)の登録件数は2001年度に引き続き高水準を維持しています。 再利用品については、推進協議会が『PETボトル再利用品カタログ』※5)を作成し、写真入りで広く紹介しています。 |
●PETボトルリサイクル推奨マーク |
|
|||
(出所)PETボトル協議会 |
|
■ボトル to ボトルの実現が目前 | ||
分別収集された食品(主に飲料)用PETボトルを資源(石油代替原料)として活用し、再びクリーンなPET樹脂およびボトルにリサイクルすることは、循環型社会形成に向けて重要な課題といえます。 ここでは、食品用として使用したボトルを再生し、再び食品用ボトルとして使用することを「ボトル to ボトル」と呼びます(分別収集したボトルを洗浄してそのまま再使用する、いわゆるリターナブルPETボトルではありません)。 PETボトルのリサイクル推進を責務とする推進協議会としては、このボトル to ボトルの実現は以前からの重要課題であり、これまでも多角的な視点から検討を進めてきました。 一方、PETボトルの再商品化手法の一つとして、化学分解法が2001年5月に公的に認められ※6)、ボトル to ボトルの実現に向けて大きく近づきました(「リサイクルフロー(2)化学分解法〜」参照)。 この化学分解法により作られたPET樹脂は、石油から製造する樹脂と同等の品質で、問題なくボトルとして利用することができると考えられています。その安全衛生性については、試作品〈帝人ファイバー(株)製〉から作製した試験ボトルを用いて、厳しい確認試験を慎重に行い、国内外の法律・基準に適合していることを確認しました。加えて実用性を見るための、内容物を充填した官能試験(味覚、臭覚による試験)により、石油から製造する樹脂と変わらないことが確認されています。 推進協議会では一日も早くボトル to ボトルを実現させたいと考えてきましたが、いよいよ2003年度には実用化の見込みとなっています。 |
|
|