はじめに
2004年度回収率※1 62.3%を達成事業系回収捕捉量は増加、市町村回収率は減少
 2004年度のPETボトル回収率は、事業系回収量※2の精査により対前年比26千トン増の81千トンが確認できたことで62.3%となり回収率は続伸しました。なお、市町村回収率は46.4%となり、容器包装リサイクル法※3施行後初めて前年を下回りました。

※1 2001年まで使用していた「リサイクル率」は、経済産業省主催の資源循環指標調査検討委員会(2002年6月、報告書『資源循環指標策定ガイドライン』を公表)で、「回収率」と呼称を統一することに決まりました。ちなみに、欧米のPETCORE(PET Container Recycling Europe)、NAPCOR(National Association for PET Container Resources)の資料も日本と同様に、回収率=収集量÷生産量または消費量です。
※2 事業系回収量とは、市町村の分別収集以外に、事業者(スーパー、コンビニ、鉄道会社、他事業者等)が自主的に回収し、リサイクルするために再商品化事業者等に渡したもので、推進協議会が独自に調査を実施(第三者機関に数量把握を委託)し、監査法人による監査を受けたものです(「樹脂の動向」、「事業系回収PETボトル量の把握」参照)。
※3 容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律):容器包装廃棄物の分別収集、再商品化を促進するため、1995年6月に制定。1997年4月よりPETボトルとガラスびんについて、事業者の再商品化義務が生じ、市町村による分別収集も広く行われるようになりました。分別収集の対象となるPETボトルは、清涼飲料、しょうゆ、酒類、乳飲料等用(2002年度に乳等省令が改正されました)の4用途です。これらを「指定PETボトル」といいます。再商品化義務の履行は、事業者が(財)日本容器包装リサイクル協会に委託して行っています。(財)日本容器包装リサイクル協会は、容器包装リサイクルの推進のため1996年に設立され、主務4省(当時の厚生省、通商産業省、大蔵省、農林水産省)から「指定法人」として指定を受けている財団法人です。
「2014年度回収率80%以上」長期目標を設定 経済産業省ガイドラインに記載
 PETボトル回収率は容器包装リサイクル法施行後順調に推移してきました。PETボトルリサイクル推進協議会※4(以下、推進協議会)は、さらなる循環型社会形成に向けて自主的に「2014年度回収率80%以上」の長期目標を設定しました。この目標は2004年9月の産業構造審議会・環境部会廃棄物・リサイクル小委員会に諮られ、ガイドラインに記載されました。

※4 PETボトルリサイクル推進協議会とは」参照。
3Rの継続的な推進 リデュースとしての軽量化で資源の有効利用促進
(1) 「リデュース」としてのPETボトルの継続的な軽量化の推進※5
リデュースとしての清涼飲料等PETボトルの軽量化を継続的に促進し、資源の有効利用と排出抑制に貢献しました。実例として、2001年度から2004年度までに、500mlと2Lのボトルでは12.5%〜33.3%※6の軽量化を実現しました。
(2) 「リユース」としての化学分解法によるボトルtoボトル※7の支援
推進協議会は、PETボトルを永久的に再利用できる化学分解法によるボトルtoボトルを実質的なリユースまたはモノマーリユースと位置づけて開発・実用化を支援し、清涼飲料製品として上市されました。
(3) 「リサイクル」基盤の構築と回収率向上促進
推進協議会は、容器包装リサイクル法が施行される以前から、リサイクルしやすいPETボトルを作るための自主設計ガイドライン設定、リサイクル手法の技術開発などでPETボトルリサイクル基盤の構築を図り、短期間で世界最高水準の回収率を達成してきました。

※5 3Rの推進」参照。
※6 中身の種類・特徴によりPETボトルの設計が異なるため軽量化率は一様ではありません。
※7 リサイクルフロー(1)」および「リサイクルフロー(2)」参照。
PETボトルの利便性は多くの消費者から認められています 分別収集の啓発活動を進めています
 清涼飲料、しょうゆ、酒類、乳飲料等用に利用されているPETボトルは、
(1) 開栓しても再栓性(リキャップ性)があって便利
(2) 軽くて持ち運びや取り扱いが簡単
(3) 透明で中身が見えて安心でき、外観も美しい
(4) 落としても割れない
(5) 安全で衛生的
といった優れた特長と価値観から消費者に愛用され、清涼飲料容器の6割以上を占めるまでになりました。
 推進協議会は、そうしたPETボトルの利便性を理解していただき、また、その分別収集がより多くの市町村とその広い地域で十分に実施されるよう、広報活動の強化と充実を図っていきます。
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●PETボトルリサイクル年次報告書