樹脂の動向
指定PETボトル用樹脂は437千トンで6%拡大

 PET樹脂(ポリエステル樹脂)全体のマテリアルフロー(2003年度)は、下図のようになりました。国内樹脂生産量は対前年比89%と減少しましたが、輸入樹脂(同116%)、再生樹脂(同111%)とも増加し、国内のポリエステル使用量全体では前年の95%と微減でした。
 ボトル用途では、本年度から飲料ボトル用樹脂へ再利用するいわゆるボトルtoボトルが開始され、11千トンが再生処理されて石油由来樹脂使用の省資源効果が始まりました。この量は指定PETボトル用樹脂に対し2.6%に当たりました※19(実使用は食品安全委員会から判断が出た2004年4月以降に販売開始されました)。
 シートは、昨年に引き続き使用量の拡大が顕著で、177千トン(同110%)、再生樹脂の使用も50千トン(同109%)と伸びています。
 使用済みの指定PETボトルのうち、市町村が分別収集した分の多く(174千トン、同113%)は指定法人〈(財)日本容器包装リサイクル協会〉が引き取っていますが、自治体の直接処理する量が38千トン(同112%)と増加し、指定法人ルートとして用意された処理施設の処理能力の余剰が顕著になりました。
 使用済みPETボトルは、市町村で分別収集される以外に、店頭などでも回収されています。そうした事業系回収量(推進協議会による調査では、2003年度は55千トン)※20を合わせると回収率は61.0%となり、循環型社会が根付いてきたといえるでしょう。
 樹脂の輸出は、財務省貿易統計ではポリエチレンテレフタレートとして2種類で計数され58千トン(同81%)でした。一方、回収され、または一次処理(粗粉砕orベール化等)したボトルは“その他プラスチック屑“として輸出されている事がわかりました。輸出先は主に中華人民共和国、香港で、この分類の量は356千トン(同136%)で昨年より94千トンも増加して輸出されていました。このうち使用済みPETボトルは100千トン以上とも推定されています。

図14●PETボトル用樹脂のマテリアルフロー(2003年度)
拡大

※19 (財)日本容器包装リサイクル協会「数値データ集/PETボトル再商品化製品量」よりボトルtoボトルが大半を占める『ボトル用途』(11.3千トン)÷指定PETボトル樹脂量(437千トン)×100=2.6%
※20 推進協議会が第三者機関に数量把握を委託し、監査法人による監査を受けたものです。
※21 この「未確認量」は、資源ごみとしての収集が確認されていないPETボトルの量であり、PETボトル用樹脂の生産量と収集量(市町村分別収集量+確認された事業系回収量)の差となっています。一般的には、この「未確認量」をもって「廃棄量」を推し量っていますが、すべてが廃棄(焼却・埋立ほか)に回っているわけではなく、実際には事業者等によって一部回収されてリサイクルあるいは輸出に向けられていると推測されます。今後、事業系回収量の精査が進めば、この量は減少するものと考えられます(「容リ法のもと PETボトル未確認量は大幅に減少」、「事業系回収PETボトル量の把握」参照)。
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●PETボトルリサイクル年次報告書