2001年度PETボトルリサイクルの現状
■再商品化施設も拡充
 推進協議会の会員団体であるPETボトル協議会は、1993年に民間企業と共同出資して、日本初の大型再商品化施設(ウィズペットボトルリサイクル株式会社)を栃木県に建設し、以後数年にわたりPETボトル協議会の多くの会員会社が技術陣を派遣して数々の技術的困難を解決しました。
 その後、多くの企業が再商品化事業に参入し、2002年度には、PETボトル再商品化施設は60社、75施設※3)で、能力は247千トンにまで増えました。
■広がる再商品化製品
 分別収集されたPETボトルは、ベールにこん包されて再商品化工場へ運ばれ、異物除去、粉砕、洗浄などの工程を経て再生PET樹脂になります。(財)日本容器包装リサイクル協会が取り扱ったものの利用先における再生樹脂の使用数量は2000年度の68,575トンから2001年度は94,912トンへと138%の大幅な伸びを示しています。
 再生樹脂の用途(下図および「再商品化製品の需要開発」参照)では、繊維製品とシート製品への利用で全体の9割を占め、残り1割は成形品・その他(空き容器回収ボックス、文房具、下水道などのふた、結束バンド、塗料など)に利用されています。
 繊維製品(制服、作業服、スーツ、ネクタイ、カーペットなど)の需要は最も多く、全体の約5割を占めています。2001年度は対前年比127%と順調に増加しました。
 グリーン購入法の調達品として指定されている製品もあり、今後も他の用途、例えば遮水シートなどの産業用資材、不織布※4)(自動車の内装材、名刺、水切り袋)などへの広がりを見せています。
 シート製品は主に卵パックや果物用仕切トレーあるいは文房具などとして利用されています。その全体に占める割合は2000年度には34.1%でしたが、2001年度には39.5%と全体のほぼ4割を占めるまでに急成長しています。
■グリーン購入法が本格施行へ、推奨マークの申請は大幅増
 2001年度よりグリーン購入法※5)が施行され、国等の機関が率先して再生品などの調達を推進することになりました。
 PETボトルからの再生品では作業服、制服、毛布、手袋、カーペットなどが調達の対象品目になっています。
 地方公共団体にも国に準じた努力義務があります。環境にやさしいリサイクル再生品の需要が一層増加しています。
 PETボトル協議会による下記のような「PETボトルリサイクル推奨マーク(登録商標)」(「『PETボトルリサイクル推奨マーク』について」参照)の登録件数も2000年より顕著に増加しつつあり、2002年3月現在385件に達しました。
 再利用品については推進協議会が「PETボトル再利用品カタログ」を作成し、写真入りで広く紹介しています。
PETボトルリサイクル推奨マーク
PETボトルリサイクル推奨マークの登録件数推移
(出所)PETボトル協議会
再商品化製品の需要先
(出所)(財)日本容器包装リサイクル協会/「再商品化商品の需要開発」参照
■ボトル to ボトルの実現に向けて
 食品用として使用したボトルを再生し、再び食品用ボトルとして使用することをボトルtoボトルと呼びます(回収したボトルを洗浄してそのまま再使用する、いわゆるリターナブルPETボトルは含みません)。
 リサイクル推進を責務とする推進協議会としては、このボトルtoボトルの実現はかねてよりの重要課題であり、これまでも多角的な視点から検討を進めてきました。
 一方、PETボトルの再商品化手法の一つとして、化学分解法が2001年5月に公的に認められ、ボトルtoボトルの実現に向けて大きく近づきました(「再商品化手法の展望」「化学分解法がスタート ボトルtoボトルはいよいよ実用化へ」参照)。
 この化学分解法により作られた樹脂は、石油から製造する樹脂と同等の品質で、問題なくボトルとして利用することができると考えられますが、その衛生・安全性については、なお慎重に最終的な確認作業を続けています。
 一日も早くボトルtoボトルを実用化したいと考えています。
 
参考
 特定事業者(PETボトルを利用する清涼飲料、しょうゆ、酒類メーカーおよび容器メーカー)は、再商品化義務の履行を(財)日本容器包装リサイクル協会に委託していますが、その委託費用は以下のようになっています。
特定事業者の再商品化委託費用推移
(出所)(財)日本容器包装リサイクル協会
※3) (財)日本容器包装リサイクル協会に登録を完了した2002年度の再商品化施設の数(2001年11月29日発行の『官報』より。「PETボトルリサイクル施設の充実」参照)
※4) 繊維同士をさまざまな方法(接着剤等)で結合させたもの。文字通り「織らない布」。
※5) グリーン購入法:
この法律は、国等に環境負荷の低減に貢献する製品(サービス)を積極的に購入することを義務づけるものです。国等とは国会、裁判所、各省庁、独立行政法人などを指します(地方自治体は努力義務)。2000年5月に制定され、2001年4月から施行されています。
具体的には各機関が毎年度「調達方針」を作成・公表し、調達実績が翌年度に公表されます。
2001年度、対象となった製品(サービス)は14分野、101品目にわたっています。また、調達の判断基準が具体的に数値などで示されています。