2001年度PETボトルリサイクルの現状 市町村の分別収集のさらなる拡大で、回収率は40%台へ
■PETボトルの回収率は年々急伸中
 PETボトルのリサイクルは、「容器包装リサイクル法」のもとに進められています。もともとはゼロからの出発で、モデル回収事業、モデル再商品化施設の建設、再生用途の開拓等々PETボトル協議会が中心となり、10年前から取り組んできました。
 1997年からは「容器包装リサイクル法」によって、ごみの減量化と資源の有効利用を図る循環型社会構築に向けた全国的な取り組みへ変わってきました。同法の施行後は、PETボトルのリサイクル事業は順調に進んでいます。
 法施行前は、一桁に過ぎなかった回収率が、ここ数年は年々急伸して、2001年度には、40.1%に達しました。極めて順調にリサイクル事業が進んでいることがわかります。
 また同時にPETボトルの分別収集を実施している市町村数も2,617となり、(2002年3月末)、全国市町村数の80.6%まで増加してきました。
 以下に、回収率の進捗状況をグラフとして整理してみました。
PETボトルのリサイクル概況
PETボトルのリサイクル概況(数表)
単位:千トン(量および能力)
実績 予測(分別収集量は計画)
1997年度 1998年度 1999年度 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度
生産量 219 282 332 362 403 433 440 452
伸び率(%) 127 129 118 109 111 107 102 103
分別収集量 21 48 76 125 162 199 217 231
回収率(%) 9.8 16.9 22.8 34.5 40.1 46.0 49.3 51.1
再商品化能力 18 30 47 102 155 247 247 247
分別市町村数 631 1,011 1,214 2,340 2,617 2,878 3,001 3,003
注) 1997年〜2001年の間、能力に対し分別収集量が上回っていますが、一部の市町村では指定法人外のルートで再商品化事業者に出しています。
(出所) 生産量・伸び率は、1997年度〜2002年度はPETボトル協議会資料。2003年度からは厚生省(現環境省)2000年3月発行「容器包装リサイクルシステム推進事業報告書」。
分別収集量・分別市町村数は環境省資料。
回収率は分別収集量÷生産量。ただし生産量、分別収集量では千トン未満を四捨五入してあるため、数値が若干上下している。
再商品化能力は経済産業省資料。
容器包装リサイクル法のもと、
ますます進むPETボトルのリサイクル
 PETボトルのリサイクルは、容器包装リサイクル法のもと順調に進んでいます。
 分別収集時には、キャップをとり、中身が残らないように軽く水洗して異物を極力混入させないことが大切な注意点です。このことが、きれいで異物の少ないPETボトルを集めることになり、より品質の良い再生樹脂ができます。
 分別収集されたPETボトルは、市町村などの中間処理場で圧縮してこん包されたベール※1)にします。このベール品の品質がリサイクルのポイントです。非常に良いと評価できる、いわゆるAランク品は、トン数構成比で2001年度は66.8%でした。調査を開始した1998年度の35.8%と比較すると、ベール品の品質改善が格段に進んでいます(「ベール品の品質向上」参照)。
■世界最高水準の回収率へ
 日本のPETボトルリサイクルが進んでいることは、海外のリサイクルデータと比較すれば明らかになります。
 分別収集量と生産量の比率を回収率と呼びます。この回収率データを日本、米国、欧州(EU)間で比較してみます。
 日本の回収率は毎年急速に上昇しており、2001年度の実績値は40.1%と2000年度の34.5%を大きく上回りました。さらに2002年度には46.0%に達するものと期待されます。
 一方米国は、2000年の22.3%から2001年には22.1%になりました(「米国の回収率が低下している原因は?」参照)。欧州は2000年の16.6%から17.9%へ上昇しています。
 日本のPETボトルの回収システムは欧米に遅れてスタートしましたが、短期間のうちにその回収率は世界の最高水準に達しました。
日米欧のPETボトルリサイクル状況比較
(出所)○日本=PETボトル協議会 ○米国=NAPCOR資料 ○欧州=PETCORE資料
■PETボトル用樹脂生産は一貫して増加傾向
 1977年にしょうゆ用としてPETボトルが初めて利用されて以来、20余年で清涼飲料用、しょうゆ用、酒類用に使用されている指定PETボトル用樹脂の生産量(一部輸入材含む)は年間403千トンに成長してきました。
 特に近年の伸びは順調で、1997年以降は一貫して増加傾向にあります。最近の増加要因は、清涼飲料の伸びによるものです。
 なお、リサイクルをより推進するために、指定PETボトルには法律で識別表示※2)が義務づけられています。
日本におけるPETボトル用樹脂の用途別生産量推移
注)2001年までは樹脂の輸入品を含む実績。2002年は予測。
(出所)PETボトル協議会
日本におけるPETボトル用樹脂の用途別生産量推移(数表)
単位:トン
用途 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年(予測)
指定表示製品 清涼飲料 194,748 258,793 308,222 338,654 380,372 411,000
しょうゆ 13,222 12,900 12,501 12,829 11,265 11,000
酒類 10,836 10,234 11,479 10,461 11,090 11,000
小計 218,806 281,927 332,202 361,944 402,727 433,000
その他 洗剤、シャンプー 12,807 10,657 9,630 9,443 5,998 6,000
食用油 1,461 1,511 2,079 2,487 3,264 4,000
調味料 10,565 11,489 14,267 13,653 12,838 13,000
化粧品 3,590 4,787 6,149 6,524 7,310 7,000
医薬品、その他 4,500 3,528 6,159 7,345 10,643 10,000
総合計 251,729 313,899 370,486 401,396 442,780 473,000
(出所)PETボトル協議会
 ※暦年ベース(1月〜12月) ※輸入品含む ※1997年〜2001年は実績、2002年は予測
※1) ベールとはPETボトルを圧縮・こん包したもの(「PETボトル再商品化の流れ」「ベール品の品質向上」参照)。
※2)
識別表示マーク
識別表示:
1993年6月、再資源化促進法に基づく政令指定により、指定表示品目(清涼飲料・しょうゆ・酒類)のPETボトルには、容器識別のために右記のマークを表示することが義務づけられました。