はじめに
■2001年度は回収率※1)40.1%以上に  
 2001年度のPETボトルの分別収集量は162千トンで、回収率は40.1%になります(2001年PETボトルの生産量:403千トン)。
 PETボトルの分別収集を実施している市町村数も2002年3月末現在で2,617市町村と全国の80.6%まで増加してきました。
 PETボトルのリサイクルは、1999年にはミスマッチ問題も発生しましたが、それらも解消でき、2001年度は昨年に引き続き順調なリサイクル実施状況となりました。
 なお、事業系回収量※2)のうち、調査で判明している分の約16千トン/年を加算すると、回収率は少なくとも44.0%となります。
 
■容器包装リサイクル法により、順調にリサイクル活動を実施  
 1997年4月から「容器包装リサイクル法※3)」がPETボトルに適用され、本格的なリサイクル活動に入ってから5年間が経過しました。
 消費者、市町村、関係省庁、関係団体、再商品化事業者などのご協力を得て、PETボトルのリサイクルは着実に成果を上げ、今や世界最高水準の回収率となりました。
 
■取り扱いやすく安全な容器として約20年  
 PETボトルは、
1. 開栓しても再栓性(リキャップ性)があり、安全で衛生的
2. 軽くて持ち運びや取り扱いが便利
3. 透明で中身が見えて安心でき、外観も美しい
4. 落としても割れない
といった、容器としての優れた特長があります。
 日本では1977年からしょうゆ用、1982年から清涼飲料用、1985年から酒類用に利用され始めました。
 
■ボトル to ボトルを目指して  
 PETボトルリサイクル推進協議会(以下、推進協議会)※4)は、PETボトルのリサイクルを促進するための広報活動、調査研究、事業の支援などを目的として1993年に結成されました。PETボトルを利用する中身メーカー5団体と容器および樹脂メーカーの団体であるPETボトル協議会の計6団体で構成されています。
 推進協議会の重要な課題の一つは、将来のリサイクル事業の安定化のために、現在のマテリアルリサイクルに加え、食品用ボトルに再利用する「ボトルtoボトル」※5)の早期実現を図っていくことです。
 
■リサイクルのさらなる推進のために  

 推進協議会はリサイクルしやすいPETボトル作りのために「自主設計ガイドライン」を制定し、必要に応じて改訂したり、また、ボトルtoボトルの衛生安全性確保のためのガイドラインを検討するなど、リサイクルシステムに関してさまざまな活動を行っています。
 広報活動としては、市町村、消費者向けにサンプルとして、フレーク、ペレット、再商品化製品を、また広報ツールとして、ポスター、広報誌『RING』、ビデオを提供しています。さらにホームページを公開し、広くPETボトルリサイクルへのご協力を呼びかけています。

 
● ● ● ● ● ● ● ● ●
 PETボトルのリサイクルが本格的活動に入って6年目になり、推進協議会は2001年度の内容を第2号の「PETボトルリサイクル年次報告書2002年度版」としてとりまとめました。
 関係者の方々にご活用いただければ幸いです。
※1) 昨年まで使用していた「リサイクル率」は、経済産業省主催の資源循環指標調査検討委員会で、「回収率」と呼称を統一することに決まりました。ちなみに、欧米のPETCORE(PET Container Recycling Europe)、NAPCOR(National Association for PET Container Resources)の資料も日本と同様に、
回収率=分別収集量÷生産量または消費量です。
※2) 事業系回収量とは、市町村の分別収集以外に、事業者(スーパー、コンビニ、鉄道会社等)が自主的に回収し、リサイクルするために再商品化事業者に渡したもので、推進協議会が第三者機関に数量把握を委託し、監査法人による監査を受けた数量です(「PETボトル用樹脂のマテリアルフロー」参照)。
※3) 容器包装リサイクル法:容器包装廃棄物の分別収集、再商品化を促進するため、1995年6月に制定。1997年4月よりPETボトルとガラスびんについて、事業者の再商品化義務が生じ、市町村による分別収集も広く行われるようになりました。分別収集の対象となるPETボトルは、清涼飲料用、しょうゆ用、酒類用の3用途です。これらを「指定PETボトル」といいます。再商品化義務の履行は、事業者が(財)日本容器包装リサイクル協会に委託して行っています。 
(財)日本容器包装リサイクル協会は、容器包装リサイクルの推進のため1996年に設立され、主務4省(当時の厚生省、通商産業省、大蔵省、農林水産省)から「指定法人」として指定を受けている財団法人です。
※4) 「PETボトルリサイクル推進協議会とは」参照
※5) 「ボトルtoボトルの実現に向けて」「再商品化手法の展望」「化学分解法がスタート ボトルtoボトルはいよいよ実用化へ」参照