文京区が集積所回収によって使用済みPETボトルの本格的な回収を始めたのは2007年10月。それまでにも、酒販店などの店舗からの回収(店頭回収)は行われていましたが、集積所回収がスタートすると同時に収集量が急増。それにともなって不燃ごみ中のPETボトルの量が激減するとともに(それまではPETボトルは不燃ごみ扱いでした)、ごみの総排出量も減少しました。そのため、現在の文京区では、集積所回収が主流となっています。
PETボトルの収集量は、集積所回収と店頭回収によるものが全体の90%以上を占めています(残りは町会等における集団回収など)。ボトル減容機の設置場所がないため、直接東京ペットボトルリサイクル梶i以下TPR)に持ち込まれ、リサイクルされています。また、TPRの休業日あるいは搬入不可能な時間には、別のリサイクル事業者に引き渡されています。
資源環境部の三戸見係長と山縣主査によると、集積所からの回収量は現在でも伸びていて、またラベルやキャップがきちんとはずされていて、とても綺麗とのこと。「これは文京区の皆さんが真面目で、PETボトルの適正処理に対しても真剣に取り組んでくださっているお陰です。」と山縣主査。また、集積所回収を始める時に、「私たちは区内を9地域に分けてそれぞれ2回ずつPETボトルの排出についての説明会を開きましたが、皆さんが高い環境意識をもって聞いてくださるので、変なクレームも出たことがありませんでした。」と感謝の言葉を付け加えられています。
その文京区にとっての大きな悩みは、区内には資源の中間処理施設やストックヤードがないことです。「回収したPETボトルは、ほぼ全てそのままの状態で江東区の南端にあるTPRのリサイクル工場まで運ばなければなりません。これにはかなりの時間が掛りますし、またコストも嵩みます。」と苦しい現状を語ったのは三戸見係長。
そうしたハンデを乗り越えながら、文京区では、PETボトルの回収率とリサイクル率のさらなる向上を目指しています。また、廃棄物全体の発生量の抑制にも一層力を入れています。
このためには、区民が編集委員を務める広報紙「モノ友通信」の発行や生ごみ減量講座などを通じて、区民一人ひとりの取り組みを推進し、発生抑制や適正な排出を大きく促進しなければなりません。区民が自らの目線で判断し、行動することを期待しています。当然、区としてもそうした民間の活動を積極的に支援していく考えです。その一つとして、リサイクル推進サポーターを置くことを新たに決定したところ、家庭の主婦を中心に多数の応募者が殺到、たちまち定員(年30人)を超え、リサイクル関連の講座を受講していただき、現在、人材の育成段階に入っています。区民の皆さんの環境意識の高さが、こうした現象にも端的に現われているのではないでしょうか。