回収促進の取り組み
香港・中国への輸出とリサイクル状況
 中国での資源需要が高まっている中、PETボトルが含まれる「その他プラスチックくず」の2004年度の香港・中国への輸出量は393千トンで2003年度の331千トンを大幅に上回りました。
 PETボトルの輸出は「その他プラスチックくず」の約半分と言われており、2004年度ベースで約200千トンと推定されます。
 中国政府はリサイクルを育成すべき産業のひとつに位置づけPETボトルの輸入にも積極的で、豊富な労働力とあいまって、PETボトルのリサイクルは活況を呈しています。
 中国でのPETボトルから再生されたPETフレークの需要は旺盛で、主に繊維に再商品化されています。
 一方、中国政府は2004年5月に、日本から中国へのPETボトルの直接的輸出を暫定的に停止しています。
 そのような状況下、推進協議会は昨年に引き続きわが国から中国へのPETボトルの輸出リサイクルの実態を調査するため、北京市・天津市・上海市の政府機関と大手リサイクル企業を視察しました。
 PETボトルの需給は、日本からの輸出が暫定的に停止されていましたが香港経由で中国本土に入ってきている実態も聞かされ、視察したリサイクル企業での逼迫感はありませんでした。また、中国へのPETボトルの輸出は現在ヨーロッパやアメリカ等からも多くされていましたが、日本からのPETボトルの品質が良いため大いに歓迎されていることも分かりました。
 中国政府は北京でのオリンピック、上海での万博開催に向け産業基盤の整備を進めていることもあり、今後の経済成長も見込まれていますが、PETリサイクル市場の活況もなおしばらく続くと思われます。
 海外に輸出されている「その他プラスチックくず」に含まれるPETボトルの数量を正確に把握することが求められますが、中国等に輸出されるPETボトルの統計基盤が整備されていません。今後国内での「回収率の向上」という視点からも、国内で未確認量と見なされてきたPETボトルの輸出数量の正確な把握が不可欠となっています。
使用済みPETボトルの行方は図4(概念図/2004年)をご覧ください
図12●使用済みPETボトルを含む「その他プラスチックくず」の輸出状況
表72004年の内訳
(単位:千トン)
国・地域名 輸出数量 シェア

中華人民共和国 92,064 20.7%
香 港 300,963 67.8%
(小計) 393,027 88.5%



台 湾 28,571 6.4%
大韓民国 9,308 2.1%
北朝鮮 2,923 0.7%
その他 10,205 2.3%
(小計) 51,007 11.5%
全 体 合計 444,034 100.0%
(出所) 財務省『貿易統計』より作成(図12、表7とも)
■北京市近郊のPETボトル再生工場
粉砕されたPETボトルの再生工程
ヨーロッパからのPETボトルの粉砕輸入品を、作業員が手作業で青・緑・透明の3色により分けています。再生繊維製造ラインには各色ごとに供給していました。
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●PETボトルリサイクル年次報告書