レポート/2003年度PETボトルリサイクル概況
ボトルtoボトルによるPETボトル飲料が市場に流通

 分別収集された飲料を主とした食品用PETボトルを原料資源(石油代替原料)として活用し、再び品質の高いクリーンなPET樹脂および食品用ボトルに半永久的にリサイクルすることは、循環型社会形成に向けて世界的に見ても非常に重要な課題といえます。
 PETボトルのリサイクル推進を責務とする推進協議会としては、このボトルtoボトルの実現は以前からの重要課題であり、これまでも多角的な視点から検討を進めてきました。
 その結果、2001年5月にPETボトルの再商品化手法の一つとして公的に認められた※10化学分解法により作られた樹脂が、石油から製造する樹脂と同等の品質で、問題なくボトルとして利用できることがわかりました。
 推進協議会としては安全・安心性について、厳しい確認試験を慎重に行い、国内外の法律・基準に適合していることを確認しました。加えて実用性を見るための、内容物を充填した官能試験(味覚、臭覚による試験)により、石油から製造する樹脂と変わらないことが確認されました。
 さらに、2003年に発足した内閣府の食品安全委員会ではこれらの試験結果について厳格に審査し、2004年3月には帝人ファイバー(株)の製法について、『現在のPETと同じ用途内において、食品に直接接触する容器包装として使用することは可能であると判断した』という審議結果が報告されました。
 2004年4月からは、ボトルtoボトルのPETボトルを使用した多くの飲料が店頭に並んでいます。当推進協議会の活動が、世界で初めて、PETボトルの完全循環の実現という形で花開きました。
 続いて2004年9月には(株)ペットリバースの方法について、「現在のPETと同じ用途内において、食品に直接接触する容器包装として使用することは可能であると判断した」という審議結果が報告されました。

※9 ここでは、食品用として使用したボトルを再生し、再び食品用ボトルとして使用することを「ボトルtoボトル」と呼びます(分別収集したボトルを洗浄してそのまま使用する、いわゆるリターナブルPETボトルではありません)。
※10 平成13年度5省(財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省)告示第二号及び同第三号

図6●ボトルtoボトルの基となる化学分解法の処理能力推移
(出所)PETボトルリサイクル推進協議会



業界による再商品化義務履行の費用負担は約84億円

 特定事業者(PETボトルを使用する清涼飲料・しょうゆ・酒類・乳飲料等メーカー、容器メーカーおよび輸入業者)は、再商品化義務の履行を(財)日本容器包装リサイクル協会に委託していますが、その委託費用は、図7のようになっています。
 推進協議会の会員団体であるPETボトル協議会は、1993年に民間企業と共同出資して、日本初の大型再商品化施設を栃木県に建設し、以降数年にわたりPETボトル協議会の多くの会員会社が技術陣を派遣し、数々の技術的困難を解決してきました。
 こうした状況下にあって、特定事業者が支払う再商品化委託費用は、1997年度以降2002年度まで年々増加傾向にありましたが、2003年度の委託費用は漸減しています。これは、その後多くの企業が再商品化事業に参入し、競争原理が働いたものと思われます。しかし、特定事業者にとっては大きな負担となっています。

図7●特定事業者による再商品化委託費用推移
(出所)(財)日本容器包装リサイクル協会



再生PET樹脂の品質向上とボトルtoボトルで用途が拡大

 分別収集されたPETボトルは、ベール(圧縮・こん包されたPETボトル)として再商品化工場へ運ばれ、異物除去、粉砕、洗浄などの工程を経て再生PET樹脂になります。
 (財)日本容器包装リサイクル協会が取り扱ったものの利用先における再生樹脂の使用数量は、2003年度は124,298トン(前年比111%)と伸びを示しています。
 再生樹脂の用途では、従来用途である繊維製品とシート製品への利用で全体の86%を占めましたが、2003年度は新規用途であるボトルtoボトル用途の実用化が進み、ボトル製品(食品用ボトル)が9%を占めるにいたりました。
繊維製品の需要は最も多く、全体の46%を占めています。制服・作業服、作業手袋、カーペット、カーテン、傘などのほか、不織布※11(自動車の内装材、名刺、水切り袋)、遮水シートなどの産業用資材、ゴミ置き場ネットなどに利用されましたが、2003年度は対前年比97%と若干減少しました。
シート製品は主に卵パックや果物、カップめんなどの仕切トレーあるいは文房具などとして利用されています。2003年度には前年比110%と成長し、全体の40%を占めています。
ボトル製品は、2002年度には非食品(洗剤など)用に再利用品全体の1%未満に過ぎませんでしたが、2003年度にはいよいよボトルtoボトルのプラントが稼働し、食品用ボトルが全体の9%を占めるに至りました(商品としての市場流通は2004年4月から)。
成形品・その他では、ハンガー、プランター、文房具、看板、下水道などのふた、PETボトル用陳列トレー、あき容器回収ボックス、結束バンド、塗料用原料、分別収集用ごみ袋など多岐にわたっています。

※11 繊維同士をさまざまな方法(接着剤等)で結合させたもの。文字通り「織らない布」。

図8●再利用品の用途別推移
(出所)(財)日本容器包装リサイクル協会



グリーン購入法が定着、推奨マークの申請は高水準

 2001年度よりグリーン購入法※12が施行され、国等の機関が率先して再利用品などの調達を推進することになりました。
 PETボトル協議会による右記のような「PETボトルリサイクル推奨マーク(登録商標)」の登録件数は、2002年度に引き続き高水準を維持しています。
 再利用品については、推進協議会が『PETボトル再利用品カタログ』※13を作成し、写真入りで広く紹介しています。

※12 グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律) : この法律は、国等に環境負荷の低減に貢献する製品(サービス)を積極的に購入することを義務づけるものです。国等とは国会、裁判所、各省庁、独立行政法人などを指します(地方自治体は努力義務)。2000年5月に制定され、2001年4月から施行されています。
具体的には各機関が毎年度「調達方針」を作成・公表し、調達実績が翌年度に公表されます。2003年度、対象となった製品(サービス)は15分野、176品目にわたっています。また、調達の判断基準が具体的に数値などで示されています。
※13 『PETボトル再利用品カタログ』をご希望の方およびお問い合わせは、推進協議会事務局までご連絡ください。
TEL. 03-3662-7591 FAX. 03-5623-2885

図9●PETボトルリサイクル推奨マーク

図10●PETボトルリサイクル推奨マークの登録件数推移
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●PETボトルリサイクル年次報告書