レポート/2003年度PETボトルリサイクル概況
回収率は61.0%で世界最高水準をキープ

容リ法のもとリサイクルが急速に進展し回収率は世界最高水準に

 PETボトルのリサイクルは、「容器包装リサイクル法」のもと順調に進んでいます。日本のPETボトルリサイクルが進んでいることは、海外のリサイクルデータと比較すれば明らかです。日本、米国、欧州(EU)の回収率を比較してみます。
 日本の回収率は毎年急速に上昇しています。2003年度の実績値では、市町村分別収集量212千トンに確認できた事業系回収量55千トンを加えた回収率は61.0%となり、2002年度をさらに7.6%上回りました。
 一方、米国の2003年回収率は19.6%(推定)になり、欧州は30.0%(推定)へ上昇しています。
 日本のPETボトルの回収システムは欧米に遅れてスタートしましたが、短期間のうちにその回収率は世界の最高水準に達しました。

図1●日米欧のPETボトルリサイクル状況比較

単位:千トン
表1(数表) 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年

回収率(%) 9.8 16.9 22.8 34.5 44.0 53.4 61.0
生産量 219 282 332 362 403 413 437

回収率(%) 27.1 24.8 23.7 22.3 22.1 19.9 19.6
生産量または消費量 1,157 1,364 1,474 1,563 1,709 1,818 1,949

回収率(%) 10.8 14.1 15.2 16.6 20.7 25.0 30.0
生産量または消費量 1,701 1,271 1,516 1,705 1,660 1,792 2,040
(出所)※上の図1、表1とも同じ出所
○日本=PETボトル協議会(回収率は2001年度からは事業系回収量も含めて計算した数値) ○米国=NAPCOR資料  ○欧州=PETCORE資料


市町村回収率は着実に上昇

 PETボトルのリサイクルは、「容器包装リサイクル法」のもとに進められています。もともとはゼロからの出発で、国内外の実態調査、事業化調査、モデル収集事業、モデル再商品化施設の建設、再生用途の開発、PETボトル自主設計ガイドラインの制定等々PETボトル協議会が中心となり、20年以上前から取り組んできました。
 1997年からは「容器包装リサイクル法」がPETボトルにも適用されたことによって、一般廃棄物の減量化と資源の有効利用促進を図る循環型社会の構築に向けた全国的な取り組みへ変わってきました。同法の施行後は、PETボトルのリサイクル事業は着実に進んでいます。法施行前は、一桁に過ぎなかった回収率が、ここ数年は年々急伸して、2003年度の市町村による回収率も48.5%と2002年度をさらに上回りました。極めて順調にリサイクル事業が進んでいることがわかります。
 また同時にPETボトルの分別収集を実施している市町村数も2,891となり(2004年3月末)、全国市町村数の91.6%まで増加してきました。


事業系回収量加算で回収率はさらに上昇

 推進協議会は2001年度から市町村分別収集されるPETボトル以外の事業系回収量について独自に調査を進めてきました。
 この調査は第三者調査機関により、産業廃棄物処理事業者等の協力を得て、スーパー、コンビニ、自販機、鉄道、高速道路等から主に事業者等により回収され、国内での再商品化、または輸出等に回されているものについて行い、その数量は監査法人による認証を受けています。
 2003年度は55千トンが確認され、それを加算した回収率は61.0%になりました。
 資源としてリサイクルされているPETボトルの全容を掌握するためにも、事業系回収量の調査・捕捉が重要課題です。

図2●PETボトルのリサイクル概況

単位:千トン(量および能力)
表2(数表) 実績 予測
年度 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年
樹脂生産量 219 282 332 362 403 413 437 441
伸び率(%) 127 129 118 109 111 102 106 101
市町村分別収集量 21 48 76 125 162 188 212 229
市町村回収率(%) 9.8 16.9 22.8 34.5 40.1 45.6 48.5 51.9
事業系回収量 - - - - 16 32 55 -
回収率(%) - - - - 44.0 53.4 61.0 -
再商品化能力 18 30 47 102 155 247 292 311
分別市町村数 631 1,011 1,214 2,340 2,617 2,747 2,891 3,072
(出所)※上の図2、表2とも同じ出所
樹脂生産量は、指定PETボトル用樹脂の生産量。PETボトル用樹脂生産量・伸び率はPETボトル協議会資料。
市町村分別収集量・分別市町村数は環境省資料。2004年の分別収集量は計画。
事業系回収量はPETボトルリサイクル推進協議会の調査で確認できた分の数値。
再商品化能力は経済産業省資料。
市町村回収率、回収率とも分母はPETボトル用樹脂生産量。千トン未満を四捨五入してあるため、数値が若干上下している。
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●PETボトルリサイクル年次報告書