RING PETBOTTLE RECYCLING
大切なPETボトルの継続的な国内循環
 
岡田 俊郎  
中国における使用済みPETボトルのベールでの輸入の解禁に思う
経済産業省 産業技術環境局リサイクル推進課
課長 岡田 俊郎
分別収集されたPETボトルは環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されることが大原則

容器包装リサイクル法の施行を契機としてPETボトルのリサイクルが始まって12年、この間、国内でのリサイクルに係るインフラ整備が進展する一方、海外、なかんずく中国との関係は、彼地での経済の飛躍的発展を背景としつつ、平成16年の中国政府による輸入の全面禁止措置、平成17年の破砕済品に限った輸入禁止措置の解除、そして、昨年2月の一定の条件を満たす圧縮・梱包品に関する輸入解禁という変遷を辿っています。

そもそも、PETボトルのリサイクルは、容器包装リサイクル法に基づく日本容器包装リサイクル協会による入札を通じたルートによる処理が基本です。他方、一般廃棄物処理は市町村の自治事務であるためこのルートを使うか使わないかは自治体の判断に委ねられ、使わないとなれば市町村が独自の判断で選定したルートで処理されます。
この場合、環境省から累次発出されている通知にもあるとおり、分別収集されたPETボトルは環境保全対策に万全を期しつつ適正に処理されることが大原則ですので、中国に輸出される場合についても市町村は中国国内における取扱いを含めて自ら適正処理が確実に遂行されていることを確認するべきです。

国内における資源の再活用の重要性を踏まえたリサイクル推進の在り方の検討が不可欠

このような形で適正処理や望むらくは各般のトレーサビリティが担保され、さらに市民との関係でアカウンタビリティが果たされれば、あとは経済原則に基づきつつグローバルなモノの流れが生ずることは当然とする考え方もありますが、我が国は国家政策として循環型社会形成を推進しており、その中でリサイクルを推進することは当然であります。こうした立場から、当該再生資源の国内における再活用が国内の経済活動を維持するために如何ほどの重要性を持っているか、当該再生資源を取り巻く全体としてのマテリアルフローの構造がどうなっているのか、といった点を踏まえつつ、リサイクル推進の在り方を検討することが不可欠です。PETボトルについても、リサイクルによる石油資源の節約効果、再生資源の主要利用先である繊維産業等の国内外の状況、PETボトル材料としての再利用可能性などについて、冷静かつ客観的な検証を行いつつ、リサイクルの在り方を突き詰めていくことが重要です。

また、高値買い取りに誘発されるような形で独自ルートを選択する市町村が現実に少なからず存在し、その背景には、分別収集・選別保管に必要な経費の増嵩が存在することも事実であり、改善に向けた検討を行っていく必要があります。

今後のPETボトルリサイクルの改善とさらなる安定化に向けて

今後のPETボトルリサイクル制度の改善とさらなる安定化に向けては、以上に述べた論点を踏まえつつ、動脈・静脈双方のバリューチェーンを繋ぐ関係者相互の連携と共創を一層強固なものとしていくことが不可欠であり、政策当局がミッション遂行に向けた責任を負うのは当然のこととして、関係主体各位におかれても、それぞれの役割と立場に応じて最善を尽くすべく奮起されることを期待しております。

 
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