RING PETBOTTLE RECYCLING
資源循環型社会形成を目指して 〜市町村紹介〜
 
大阪府 堺市
市民と行政の良い関係が作る資源循環型社会。

全市回収の実施により急増するPETボトル

 古くから商売の街として栄えてきた大阪府堺市。夜間人口の多いこの街は、大阪市のベッドタウンとして位置し、人口・面積ともに大阪府で2番目の都市です。2006年には、府内では大阪市に次ぐ政令指定都市になりました。

 PETボトルの資源回収は、1年間のモデル地区での実施を経て、2009年10月から全市で回収を開始。可能な限り再資源化を目指して、PETボトル、プラスチック製容器包装、小型金属類の回収が実施されています。PETボトルの処理は、市内エコタウンの太誠産業(株)が行っています。現在、施設に搬入される車両は1日4〜5台で推移しており、品質は良好で機械によって破袋し、3〜4人で選別を行いベール化しています。今後、市民意識の高揚によりPETボトル回収量の増加が予想され、新たな受入れ体制を検討しているところです。

継続的で安定的な国内のリサイクルのために

 2001〜2007年度は、拠点回収して、独自に処理をしていました。回収量は300〜400トンで推移していましたが、2009年10月の全市での回収実施に伴い、拠点回収量は前年比40%程度に減少したため、現在は拠点回収を継続するか否か検討されています。2009年度の回収量は950トンに急増しため、今年度の申し込み量は1,700トンに設定しました。Aランク評価を受けていますが、回収量の増加とともに残渣率も若干増加している点が今後の検討課題です。

 今回、全量を指定法人ルートへ出すのには周りから相当な抵抗がありました。「従来は、30円/kgの収入になっていたのに、それを捨ててなぜ…と、喧々諤々の議論がありました。しかし、このシステムの大前提は『継続的で安定的な国内のリサイクル』です。『売れるから』という理由で他に回しては、国内のリサイクルルートを潰すことになります。お金の問題ではなく、政令指定都市として、国内のリサイクルルートに乗せようと、全量を指定法人に納めるべきとの結論に至りました。」と語る坂本課長です。

啓発活動は「即効性の現在」と「遅効性の将来」の2つの輪で

 啓発活動の一つとして、分別啓発DVDを作成し自治会単位で配布。広報紙「さかい」やホームページで、資源化量が逐次報告され、職員手作りの「資源とごみの出し方便利帳」が全世帯で活用されるなど、すぐにでもできる即効性のある周知を心がけています。それだけではなく、市民が要望しやすいよう、出前講座のメニューを策定し、正しい分別方法などの講座を開いて、将来を見据えた啓発にも注力しています。

非常に協力的な堺市民

 PETボトルの資源回収の開始にあたって、自治会の代表の方々にお願した際、告知が遅かったこともあって、「実施の3か月前にそんなことを言われても無理だ」などと、相当に反発されました。しかし、いざ開始してみると各自治会ともに非常に協力的で、高い品質が保たれています。「口は出すけど、やることはやる。」それが堺の自治会の気質とのこと。「市民に理解してもらえればその事業の9割は完成。いつも市民に助けられています。」と辻中係長。こうした市民と行政との良い関係が、資源循環型都市・堺市を支えているようです。

環境局環境事業部資源循環推進課 課長 坂本 茂雄
同課 主幹兼啓発推進係長 辻中 均
同課 啓発推進係 梅津 一
クリーンセンター東工場管理課 坂本 世樹
太誠産業株式会社 大阪支店 営業 宇野 文浩
 
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