RING PETBOTTLE RECYCLING
市場の論理から協働の論理へ
西村室長 私の方から違う観点でいうと、今のPETボトルの状況というのは、廃棄物だったものがだんだん有価物になってきているという傾向です。実はPETボトルだけではなく、ほかの廃棄物についても同じような状況があらわれてきています。たとえば、自動車とか家電とか、ほかのリサイクル制度の対象になっているものについても、従来は廃棄物だったものが有価物になってきている。それは市況で資源価格が上がっているということもあるし、それから、リサイクル化が進んだおかげで、ごみが資源になってきている。そういった変化の中にあります。

特にPETボトルは早い段階から収集が始まり、また、それが単一素材だったということもあって、非常に有効にリサイクルされてきました。PETボトルはリサイクルの優等生であったことから、逆に状況の変化にいち早く直面しているところがあるのではないかと思っています。

リサイクルという営みは、必ずしも規制オンリーでなく、市場で回っていくように行われてきたことに特長があると思います。だから市場の動きの影響を大きく受ける。しかし、リサイクルは市場原理だけで行われるべきものではないと思います。

リサイクルといった場合に、ひとつは制度の側面、次に市場という側面、そして運動という側面と、3つあると思いますが、この3つが相まって進まないといけない。たとえば、容リ法で指定法人に流すという制度があっても、市場でそのシステムがうまく回っていかないと機能しない。また、住民の皆さん、あるいは関わる人たちが、今回の改正のキーワードであった協働というもので運動的に支えていかないと、それぞれが機能しないと思うのです。
今回のような状況の中では、普通、市町村の側で海外に売るほうがお金が多く入るといったら、そちらに流したいと思うのがいわゆる市場の論理というものなのかもしれません。しかし、リサイクルというのは市場の論理とは違う連帯とか協働というものによって、新しい持続可能な社会をつくっていこうという運動です。また、海外市場の動向にかかわらず国内で循環していく安定的なシステムをつくることは、市場の論理とは違うところで、みんなが支え合うということが大事なんだろうと思うわけです。

ですから、今回のPETボトルの直面している状況は、私が冒頭に申し上げたのと違う意味でのリサイクルの新たな局面、つまり、市場の論理と協働の論理の競合という局面を表わしていると思っています。
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RING vol.19PETボトルリサイクル推進協議会PET