RING PETBOTTLE RECYCLING
再生樹脂利用事業者紹介
再生原料の安定供給が、火急の課題
帝人ファイバー株式会社 松山事業所
積極的なマテリアルリサイクルについて語る佐野課長帝人ファイバー(株)は、最近、繊維to繊維という循環型繊維リサイクル事業、ボトルtoボトルという使用済みPETボトルから新しいPETボトルを作る事業を手がけていますが、もともと、短繊維事業においてはPETボトルからポリエステル原綿を作るというマテリアルリサイクルを積極的に推進しています。

帝人ファイバー(株)の短繊維事業部では2006年度で、松山事業所、徳山事業所合わせて年間約70,000トンのポリエステル原綿を生産しています。マテリアルリサイクルを積極的に活用していく傾向が年々顕著になり、再生原料を使用した原綿生産の拡大に対応できるよう設備改良を実施し、2005年度には再生原料を使用した原綿の生産が、約20,000トン近くになりました。しかし2006年度は再生原料がなかなか集まらない、非常に厳しい状況に直面しています。

用途別の販売内容については、紡績用、不織布用、詰綿用に主に販売されています。まず紡績用については、再生原綿から紡績糸が作られ、ユニフォームやシャツなどの衣料製品、カーテンやロールスクリーンなどのインテリア製品などが作られます。次に不織布用については、主に生活資材製品に使われていますが、最も大きいマーケットは自動車内装材です。自動車内装材については、原綿を製造する段階で綿に色を付けた原着綿が多く使われており、主に松山事業所で生産しています。次に詰綿用については、布団、枕、クッションなど寝具の中綿として使用されています。

「再生原綿の販売は衣料製品、インテリア製品においては「エコペット」というブランドで展開しています。テキスタイルメーカーやユニフォームメーカー、インテリアメーカーなどとタイアップしながら“地球環境にやさしい”ということをキーワードに積極的に販売を実施しています。2000年以降のグリーン購入法成立以来、マーケットが大きくなっています。また、自動車分野については、国内の自動車生産が右肩上がりで伸びているため、内装材の需要も増加し、フロアカーペット、天井材などを中心に再生原料を使用した原着綿の販売が拡大しています」と佐野課長。「エコペット」の一般消費材へのさらなる浸透が今後の課題といいます。
リサイクル製品の説明を受けるRING委員同社では、PETボトルフレーク使用の再生原料が総生産量の30%を占めていますが、中国へのPETボトルの流出、それに伴う価格の上昇によって、安定的な生産、販売を維持しにくい状況となっています。
マテリアルリサイクルが拡大するか、縮小の道をたどるか。いまこそ、長期的展望にたった再生原料の安定供給、安定価格が求められています。
(取材:RING編集委員)
帝人ファイバー株式会社 短繊維事業部紡績・寝装課長 佐野 照朗 氏
帝人テディ株式会社 第二工場長代行 岡 義博 氏
愛媛県松山市北吉田77番地
TEL:089-973-7100
FAX:089-972-0257
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RING vol.18PETボトルリサイクル推進協議会PET