RING PETBOTTLE RECYCLING
環境学習の現場から from Kashiwa city
地球規模で環境に関心が高まる中、循環型社会の形成を目指し、実践型、参加型の環境学習がますます重要となってきています。行政、学校とそれぞれの現場が協力しあい、よりよい学習の場を作り出しています。その一例として、今回千葉県柏市をご紹介いたします。
柏市ごみ減量マスコットキャラクター
クリンちゃん
柏私立逆井小学校
少しずつ広がった環境美化の輪
向かって左から、逆井小学校5年甲賀奈都美さん、伊東晶子さん、植松洋亮(ようすけ)さん
「最近は捨ててくれる人が少なくなって残念」と半分冗談?半分本気?!でにっこり笑う、伊東さん、植松さん、甲賀さんの3人。前担任の内藤先生とともに、柏市のリサイクルプラザリボン館にやってきた柏市立逆井小学校5年生の皆さんの取組みを教えてもらいました。
 きっかけは4年時の社会科の授業で、“柏市はごみのぽい捨てが多い”ということから始まりました。柏市は、近隣市町村の通勤中継駅として、また通勤地として柏市民以外にも利用され多くのごみが捨てられていました。また、手賀沼の水質が悪いということから、わくわくタイム(総合的な学習の時間)で水の勉強をし、自分達の捨てたごみが最終的にどこに行っているのか、ごみの量を減らすには?ということを1年間を通して学びました。そして自然に、仲間5人で(今は別のクラスの関野静香さん、田中達也さんと一緒に)通学路でごみを見つけたら拾うことを始めたのです。

たくさん展示されたPETボトルの再利用品を見て、
驚きの声をあげる3人
通学途中で拾ってきたごみは、校門前で内藤先生が用意した袋に入れて、掃除の時間に資源は資源として、燃えるごみ、燃えないごみなど分別していました。始めは、クラス全員で分別作業をしても掃除の時間いっぱいかかり、時間がなくなってしまうことも多々ありました。「最初はすごくごみが多くてびっくりした。特にたばこと空き缶がたくさん!」と振り返る伊東さん。「始めのころは自分でもっていったごみ袋が学校につく頃にはいっぱいになって」と甲賀さん。「それが拾っていくうちに、少なくなって手のひらに乗る位の量に。それがうれしかった」と植松くんが言うと、全員うんうんと力強くうなずいていました。彼らを含めた5・6年生が拾っている姿をみて、2・3年生もごみ拾いを始め、その活動に気づいた近くの千葉県立柏陵高等学校の生徒も1学期に1度、通学路での環境美化活動を一斉にするようになりました。始まりは5人の小さな活動がどんどん輪を広げていったのです。
 平成15年2月には、5人の地道で継続的な活動が認められ、平成15年度の『柏市青少年善行表彰』で一人ひとりが個人の部で表彰されました。

柏市立逆井小学校5年:甲賀奈都美さん、植松洋亮(ようすけ)さん、
伊東晶子さん、内藤常道先生
柏市 クリーン推進課
出前講座で未来の排出者を育てる
分別ゲームで、柏市の分け方にしたがってみんなでごみや資源を分類
PETボトルのベールや缶のプレス品などを実際に持っていって説明
活発に質問もでて、わいわいがやがやと楽しくすすめられる学習風景
 柏市ではごみ減量の啓発事業として、平成5年からごみ減量広報紙を発行し、広報を続けるととともに、平成9年からは小学校からの要請があると、環境(ごみ)学習の出前授業を小学校やリサイクルプラザで行っています。分別の方法、自分達にもできるごみの減量方法を、ゲームなどを通じて子ども達にわかりやすく説明しています。小学校によっては、両親への積極的な見学の呼びかけも行っています。
「そうすればしめたものです。子どもと一緒にお母さんたちにも、ごみの減量化と分別を学んでもらえますから。今の子ども達が大人になった時には、“分けるのが当たり前”の時代を期待しています。また子どもから親を刺激してもらい、大人の意識を高めたい。長い目で、あきらめずにやっていきたいと考えています」とは平成13年度、14年度ともに約10校、年間1,000人近くの小学生を対象に出前講座を行ってきた担当者の言葉。
 リサイクルプラザが平成14年4月にオープンしてからは、小学校に出向くより、リサイクル工場の見学と合せて豊富なリサイクル展示品が揃うリサイクルプラザにおいて、市独自の分別案内ビデオを中心に、子どもから大人まで幅広く説明しています。
 また、平成3年からごみ体験ツアーも一般市民を対象にして年に平均30回程度行っています。ごみの集積所から最終処分場までのごみが出されて処分される流れを見学してもらい、ごみの減量およびリサイクルを進めるための分別の大切さを学んでもらっています。


(柏市環境部 クリーン推進課 渡辺清一氏、
宮本さなえ氏)
柏市リサイクルプラザ 〜リボン(RE-BORN)館〜
体験して実感する
粗大ごみとして出されたリサイクル家具のリフォーム風景
リサイクル教室の作業風景 (和服の布のパッチワークでミニバッグ作り)
 自分でリサイクルプラザや処理場に見学に来られる方は、ある意味しっかり分別している人、意識がある人です。これからは、興味のない人にどうやって分別してもらうように働きかけるかが重要となってきています。
 そのため、資源品を処理する施設として見学できるほかに、リサイクルについて学び、体験できる場所として、啓発施設リボン館を市民に広く提供しています。その一つの試みとして、リサイクルフェア(フリーマーケット、リサイクル家具抽選会、リサイクル工作教室、模擬店など)を開催し、楽しみながら、ごみ減量について考えてもらう機会を設けたり、リサイクル意識向上のための講座企画、教室運営、講師募集などを市民の方に委託し、事業を展開しています。これまでには、リフォーム教室、牛乳パック工作、ソーラークッキング、木工教室、家具の修理、せっけん作り、親子手作り教室などを実施し、平成14年5月オープンから平成15年2月の10ヶ月間で約8,900名の来館者を迎えています。今後もさらに多くの方に利用してもらえるよう講座・教室の種類を増やすことを検討しています。
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