■新たな再商品化手法(化学分解法)の認定
 現在日本で実施されているPETボトルのリサイクル方法は、「マテリアルリサイクル」です。これはPETボトルを異物除去、粉砕・洗浄をして約8ミリ角の薄片(フレーク)状の再生樹脂とするものです。このフレークを使って繊維製品やシート製品などの多くの再利用品が作られています。この方法での異物の除去方法は主に洗浄・分離によるので、ごく微小な異物が残ってしまいます。そのために食品容器や非常に細い糸が必要な繊維にする際にこの異物が問題となります。その問題を解消することが期待されているのが2001年5月の法改正により新たに再商品化手法として認められた「化学分解法」です。この方法は、PETボトルを化学的に分解して原料物質に戻し、それから再びPET樹脂を作る方法です。分解および精製の過程で異物が除去されるので石油から新たに作ったものと同等な樹脂が得られます。現在は実用化に向けて試験を重ねているところで、2002年にまず帝人(株)でリサイクル工場が稼働を始める予定です。
■ボトルtoボトルの現状と見通し
 食品用として使用したボトルを再び食品用ボトルとして使用することを「ボトルtoボトル」と呼びます(ただし再使用する、いわゆるリターナブルPETボトルは含みません)。ボトルtoボトルでは3つの方法を検討しています。
1.マテリアル法
 飲料に直接接触する内面に新しい樹脂を使用し、リサイクル樹脂を強度・厚さを保持する中間層として用います。
2.メカニカル法
 マテリアルリサイクルで得られた樹脂を、さらに熱・真空・清浄ガスで十分に洗浄してボトルtoボトル用の樹脂にします。
3.化学分解法
 ボトルを化学的に分解してPET原料の化学物質に戻し、再び樹脂を製造します。石油から出発したものと同等の樹脂を得ることができます。
 いずれの方法も現段階での試験では基本的な安全衛生性は確認されていますが、今後は利用者(メーカー・消費者)が、安全性とともに経済性も含め、安心して使用できるようにしていくことが必要となります。
PETボトルのリサイクルを振り返って|新しいリサイクル手法|自主設計ガイドラインの変遷