5. Recycle(リサイクル)
(1)2009年度使用済みPETボトルの回収は新たな混乱へ
市町村分別収集で指定法人ルートが増加
2009年度の使用済みPETボトル市町村分別収集量のうち、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(以下指定法人)への引渡し量は189千トンで前年度を23%上回りました。これは市町村からの指定法人への円滑な引渡しが進んだことによります。
一方、指定法人ルート外の独自処理量は、99千トンで前年度より24%減少し、市町村における独自処理比率は34%と前年度より12ポイント低下しました。
図9 指定法人引渡し量および独自処理量の推移
図9 指定法人引渡し量および独自処理量の推移
(出所) 市町村分別収集量:環境省(2010年度は計画量)
  指定法人引渡し量:公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
(2010年度は落札量)
  独自処理量:[市町村分別収集量−指定法人引渡し量]
(2010年度は独自処理予定量:[分別収集計画量−指定法人落札量])
指定法人落札価格の有償化
近年、活発化している中国輸出に端を発した市町村独自処理におけるPETボトルの有償化の影響を受け、指定法人において2006年度より有償入札が認められました。
有償入札分の収入は市町村に拠出されます。
図10 指定法人の落札単価と契約ベース有償額
図10 指定法人の落札単価と契約ベース有償額
(出所) 公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
旺盛な中国需要は健在
2008年10月以降の世界同時不況のなか、中国等のリサイクル市場も一時混乱が生じ、中国輸出量が一時減少しました。しかし、2009年度にはその影響もおさまり、300千トンと大幅に伸長しています。
中国を中心とした旺盛なPETくずの需要は増加基調にあり、国内の資源流出という観点から、今後とも注意を要します。
図11 PETくずの中国向け輸出量(月累積)と単価推移(貿易統計)
図11 PETくずの中国向け輸出量(月累積)と単価推移(貿易統計)
(出所) 財務省「貿易統計」
2010年度指定法人契約量は201千トン
2009年度契約量204千トンに続き、2010年度はほぼ同量の201千トンとなり、市町村分別集計画量の2/3をキープしました。
これは、容器包装リサイクル法に盛り込まれた“円滑な引渡し”の理解が進んだことによると思われます。
しかし、2010年度は、昨年の夏以降の需要回復で指定法人への落札価格は有償の−22円/kgとなり、2009年度の−4.2円/kgから再び大きく上昇しました。再商品化事業者にとって厳しい情勢となっています。
中国ベール輸入解禁への動き
2004年5月に中国において発生した日本からの「その他プラくずでの不適切品の輸入問題」を契機に2006年1月経済産業省は輸出適合品を「再生できるように、分別・裁断・洗浄が必要」と判断しました。
ところが、中国は、自国の再生事業者からの要望を受け、数年前から検討に入り、2010年2月「輸入廃PETボトルベールの環境保護コントロール」としてベール状での輸入を解禁しました。ベール状での輸入実績はまだありませんが国内資源の流出が加速し、国内のリサイクルシステムの基盤をゆるがしかねないという懸念があります。
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●PETボトルリサイクル年次報告書