4.Reuse(リユース)
PETボトルのリユースに向けての取り組み
リターナブルPETボトルの調査・研究
推進協議会では、2006年7月よりリサイクル技術検討委員会の中に「リターナブルPETボトル分科会」を設置し、自主行動計画に基づいたPETボトルのリターナブルシステムの研究を、「商品の安全・安心の確保」という観点を中心に進めてきました。2008年3月には、環境省主管による第1回「PETボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的利用に関する研究会」が開催され、推進協議会からは、リユースに向けての安全性の問題をはじめとする現状の課題、取り組むべき検討課題等を第2回研究会で報告しました。その後、2009年7月の第7回研究会で、「PETボトルリユース実証実験結果」が取りまとめられ同年8月に公表されました。
推進協議会でも独自のリターナブルPETボトルの誤用実験を実施し、環境省の実験結果と同様の結果を得ることができました。
1.PETボトルリユースによる環境負荷分析(環境省主管)
図6は、2Lミネラルウォーター用PETボトルのCO2排出量のワンウェイ、リユースのシナリオ間比較であり、そのLCAでは以下の結果が確認されました。
(1) オープンシステム(店頭販売)については、85%〜90%といった高い回収率を確保することが全体的には難しいため、ワンウェイ(現行リサイクル)の方が、環境負荷が小さい。
(2) クローズドシステム(宅配販売)については、90%以上の高い回収率と輸送距離を100km未満等に限定すれば、リユースの方が、環境負荷が小さい。
図6 リユースとワンウエイPETボトルのCO2排出量
図6 リユースとワンウエイPETボトルのCO2排出量
リユース条件 広域 地域限定
オープン クローズド オープン クローズド
充填〜販売拠点の距離 260km 50km
回収率 60% 90% 70% 95%
(出所) 環境省「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の 循環的な利用に関する研究会」第7回資料
2.推進協議会による消費者誤用実験の結果と考察
(1) 代理汚染物質による汚染PETボトルと洗浄後のPETボトル壁への残留量調査分析を実施しました。
図7 PETボトル 汚染物残留値
図7 PETボトル 汚染物残留値
分析結果はPETボトル胴部の一定量を切り出してサンプリングした重量を基準にして算出しました。それぞれの分析値は未洗浄と洗浄したものの比較であり、残留量は洗浄条件(苛性濃度・洗浄温度)によって減少してはいますが、高い残留(収着)が認められました。
(2) 代理汚染物質の溶出調査としてPETボトルとガラスびんの比較調査を実施しました。(85℃で純水を充填した各サンプルを40℃の恒温槽に7日間保管し、その後PETボトル内の 水を採取して、充填した水中に溶出した各成分を分析)
図8 汚染物質溶出量
図8 汚染物質溶出量
未洗浄のボトルからの溶出量は、ベンゾフェノンが高い値を示し、トリクロロエタンが低い値を示しました。洗浄後のボトルからの溶出量は、材質分析の結果と同様に洗浄により減少し、ガラスびんの方が低い値となりました。また、ガラスびんは、洗浄後では全て検出限界以下まで除去されている事が確認されました。
以上の結果からリターナブルPETボトルが、誤用された場合は高度な洗浄を駆使しても汚染物質がボトル内壁に残留し、中味を充填した場合は汚染物質が溶出するため、PETボトルのリユースは誤用の可能性がある限り、難しい状況にあります。逆に、ガラスびんはリユースに適した容器だと言えます。
(6)
TOP BACKNEXT
●PETボトルリサイクル年次報告書