4. Reuse(リユース)
PETボトルのリユースに向けての取り組み
「ペットボトルを始めとした容器包装のリユース・デポジット等の循環的な利用に関する研究会」に参加
2008年3月に立ち上がった環境省主管の研究会に参加し、過去からの取り組み、調査・研究を踏まえ、リユースに向けての現状の課題、取り組むべき検討課題等を第2回研究会(2007年3月25日開催)で報告しました。(詳細は「環境省研究会資料」を参照下さい。)
リターナブルPETボトルの海外動向の調査研究
前記研究会の報告にもある通り、過去よりヨーロッパを中心にリターナブルPETボトルの動向について調査・研究を実施しています。
1.諸外国におけるリターナブルPETボトルに関する法規制
アメリカ、EU諸国を調査した結果、リターナブル使用に対する特別な規制はありません。日本も同様です。
2.PETボトルをリターナブルで導入した国々の現状
1986年度にドイツで導入され、その後オランダ、オーストラリア、ブラジル等20カ国以上で導入されました。しかし、現在ではわずかに残っている国はオランダ、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、スウェーデンであり、主要なシステムとして残っている国はドイツだけです。そのドイツにおいても、包装廃棄物令(72%強制デポジット法)が施行された2003年に、一時的にリターナブル容器の比率が増加しましたが、2004年以降は図7に示すように低落傾向となっています。逆にワンウェイPETボトルが増加傾向にあります。
なお、スイスは、LCA(環境負荷評価)調査の結果に基づき、2003年にリターナブルPETボトルをワンウェイPETボトルに転換しました。
図7 ドイツでのノンアルコール飲料の容器構成
PETボトルのリユースについての業界スタンス
PETボトルは、ワンウェイ容器としての利便性からその導入がはかられ、ワンウェイの流通が基本であります。従って、現状においてのリユースについての業界スタンスは、以下の通りとなります。
(1) 
安全性の確保ができていない現段階では、リターナブル化を進めることはできない。
  • 国内にて分析実験・評価が必要であれば、国とともに実施する。
(2)  安全性が確保されたという前提下においても、解決困難な課題は非常に多く、十分な時間をかけ、慎重に検討することが必要である。
(3) 
海外での導入事例が引き合いに出されるが、実際には各国とも縮小傾向にある。
  • この要因(リターナブルPETボトルシステムが継続困難な理由)に関する調査研究が不可欠。
(4) 
ガラスびんで復活できていないリターナブルシステムがPETボトルなら可能であるとする根拠がない。
  • 消費者意識の変革(傷のついた容器の容認・返却への動機付け)。
  • 流通インフラ変化(一般小売店の減少、CVSの増加)への対応。
  • 量販小売業界の協力(レジ・空容器分別)。
  • 回収コスト増分の価格転嫁、空容器保証金等によるワンウェイ容器との価格差の問題。
今後の研究課題
環境省の研究会は、2008年7月4日の第5回の研究会において中間のとりまとめが行われ、環境負荷のさらなる検討、食品衛生や品質確保の検証、ビジネスとしての経済性と消費者の受容性の研究、回収促進策その他の社会システムの在り方の研究などを、実証実験の実施を通してさらに検討を深めていくこととしています。
推進協議会としても、特に、次に示す2点の調査・研究に努力する方針であります。
(1)  安全・安心性の確保
異味・異臭や有害物質がはいった場合に、吸着量が少なく、洗浄すれば完全に除去できるガラスびんに比べ、吸着量が多いPETボトルでどこまで洗浄除去できるのか、調査研究する。
(2)  環境負荷の評価(LCA)
ボトル重量、使用回数、輸送距離を考慮した、リターナブルPETボトルとワンウェイPETボトル等のLCAを検討する。
(7)
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●PETボトルリサイクル年次報告書