レポート/2005年度PETボトルリサイクル概況
使用済みPETボトルの有償化が進行
市町村分別収集で指定法人ルートが減少
2005年度の指定PET樹脂生産量は清涼飲料を中心に対前年度比3.7%増と伸長しました。これに対して、市町村分別収集量は252千トンで前年度比5.7%増と伸長し、樹脂生産量の伸びを上回りました。
この市町村分別収集量のうち、(財)日本容器包装リサイクル協会(以下、容リ協会または指定法人)ルートの引き取り実績量が170千トン(引き取り契約量177千トンの3.9%減)で前年度から約22千トン減少し、容リ法運用以来初めての減少となりました。
一方、指定法人以外のルートに市町村が引き渡す独自処理量は、2005年度82千トンで前年度比77%増と大幅に増加しました(図3)。
2006年度には、指定法人ルートの引き取り契約量が前年度実績量より26千トン減少した144千トンとなっており、独自処理ルートへのシフト傾向はさらに加速しています。
市町村独自処理ルートにて有償化が加速
市町村の独自処理ルートへのシフト傾向は、近年の中国など海外を中心に使用済みPETボトルの需要が拡大し、有償化したことが起因となっています。その独自処理ルートのPETボトルの有償化が、市町村の指定法人ルート離れを加速しました。
さらに、再商品化事業者の再商品化可能量が、2005年度で315千トン(2006年度396千トン)と市町村分別収集量をはるかに超える状況下で、特に2006年度は指定法人ルート量が144千トンと減少するに及んで、独自処理ルートの価格の高騰に拍車をかける状況が生じています。
2006年度は指定法人ルートで有償入札へ
独自処理ルートの有償価格高騰のあおりを受け、2006年度の指定法人入札では、有償入札がその大部分を占めるに至っています。
この再商品化事業者が指定法人に支払う有償分は契約ベースで約26億円となっていますが、これによる収入は、指定法人によると、有償分の使用済みPETボトルを指定法人に引き渡した各市町村に拠出されることになっています。
この市町村への拠出金が、2007年度以降の市町村の指定法人ルート離れを防止し、増加に転じることにインセンティブとして寄与することが期待されます。
図3●指定法人経由及び独自処理分別収集量の推移
表2●(数表)
単位:千トン(量および能力)
実績
年度 1997 1998 1999 2000 2001 2002
樹脂生産量 219 282 332 362 403 413
伸び率(%) 127 129 118 109 111 102
市町村分別収集量 21 48 76 125 162 188
市町村回収率(%) 9.8 16.9 22.8 34.5 40.1 45.6
事業系回収量 - - - - 16 32
全回収率(%) - - - - 44.0 53.4
再商品化能力 18 30 47 102 155 247
分別市町村数 631 1,011 1,214 2,340 2,617 2,747
実績 予測 - -
年度 2003 2004 2005 2006 - -
樹脂生産量 437 514 533 538 - -
伸び率(%) 106 118 104 101 - -
市町村分別収集量 212 238 252 285 - -
市町村回収率(%) 48.5 46.4 47.3 52.9 - -
事業系回収量 55 81 97 - - -
全回収率(%) 61.0 62.3 65.6 - - -
再商品化能力 292 311 315 396 - -
分別市町村数 2,891 2,796 1,747 - - -
(出所)※図2、表2とも同じ出所
樹脂生産量は、指定PETボトル用樹脂の生産量。PETボトル用樹脂生産量・伸び率はPETボトル協議会資料。
市町村分別収集量・分別市町村数は環境省資料。2006年度の分別収集量は計画。
事業系回収量はPETボトルリサイクル推進協議会の調査で確認できた分の数量。
再商品化能力は経済産業省資料。
市町村回収率、全回収率とも分母はPETボトル用樹脂生産量。千トン未満を四捨五入してあるため、数値が若干上下している。
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●PETボトルリサイクル年次報告書