レポート/2004年度PETボトルリサイクル概況
ボトルtoボトルの現状
 推進協議会がPETボトルの完全循環型リサイクルを目指して、その開発と実用化に向けて支援してきたボトルtoボトル(PETボトルを再びPETボトルにリサイクルする手法)の製品が2004年4月より市場に出回り始めました。
 食品用ボトルとして利用されるためには、リサイクルされた後のPET樹脂が品質の高いクリーンなものであることが絶対に必要です。この課題に対して、PETボトルを化学的に原料まで分解し、これを精製したのち再びPET樹脂を製造する『化学分解法』という技術を活用することで、石油から製造する樹脂とまったく同等の品質のPET樹脂を得ることができ、食品用ボトルとして安全に、安心して利用できるようになりました。
 ボトルtoボトルの安全性は内閣府食品安全委員会で確認されています。2004年3月、食品安全委員会の食品健康影響評価で『現在のPETと同じ用途内において、食品に直接接触する容器包装として使用することは可能であると判断した』という審議結果が報告されました。
 ボトルtoボトルの手法により、2004年度で約23千トンのリサイクルPET樹脂が生産されています。日本の清涼飲料入りPETボトルの約20本に1本はボトルtoボトルで再生されたものとなる計算です。
 このボトルtoボトルは、2004年度に1社〈帝人ファイバー(株)〉が販売を始めましたが、2005年度からはもう1社〈(株)ペットリバース〉が同様の方法で開始する見込みです。 ボトルtoボトルは、天然資源を採掘する必要がないことで省資源に貢献しています(石油資源のリデュース)。これをLCIの手法で計算すると、ボトルtoボトルのPET樹脂を製造する際の工程エネルギーは、石油由来のボトル用PET樹脂の工程エネルギーと同等であり、エネルギー負荷合計は約半分に抑えられると証明されています。
 さらに、ボトルtoボトルの手法は商品価値を落とすことなく永久的に再利用することができますので、これは実質的なリユースと言えます。
 このように社会的に大きなメリットがあることから、推進協議会では本年度もボトルtoボトルの定着のための支援を継続し、ボトルtoボトルが有効に機能するよう協力していきます。
表5LCI によるエネルギー負荷比較
事業者 ボトルtoボトル
PET樹脂
石油由来
PET樹脂
資源エネルギー 0 (MJ/kg) 35 (MJ/kg)
工程エネルギー 31 (MJ/kg) 28 (MJ/kg)
エネルギー負荷合計 31 (MJ/kg) 63 (MJ/kg)
(出所) 『PETボトルのLCIデータ調査報告書』2004年8月(PETボトル協議会)『プラスチック廃棄物の処理・処方に関するLCA調査研究報告書』2001年3月〈(社)プラスチック処理促進協会〉
リサイクルのためのインフラ構築を推進しています
2004年4月より市場に出回り始めたボトルtoボトルを生産する帝人ファイバー(株)・徳山事業所のPETボトルリサイクル工場。2004年度には23千トンのボトルtoボトルによるリサイクル樹脂を生産しました。
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●PETボトルリサイクル年次報告書