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3.スイスで行われた国際会議「ポリエステル2001」で世界に向けて日本の取り組み状況を情報発信
■世界に認められた日本のリサイクルシステム
 「ポリエステル2001」は、ポリエステル全体の製造、用途、リサイクルなどに関する権威ある国際会議で、毎年冬にスイスで開催されます。その事務局より、推進協議会に対して日本のPETボトルリサイクルについての講演依頼があり、2001年12月に国際会議で講演するとともに欧州のPETボトルリサイクル事情を調査してきました。
 スイスのチューリッヒで行われた今回の会議では、PET樹脂やPETボトルに関して、さまざまなテーマの発表がありました。
 PETボトルの需要は世界的に高い伸びが予測されています。発表や訪問先との意見交換でも、今後は回収した容器をボトルtoボトルに利用することは必須との共通した見解でした。
 その中で我々は日本の状況について、“PET Bottle Current Recycling Status and Scenario in Japan(日本におけるPETボトルリサイクルの現状と今後の取り組み)”と題する発表を行い、日本の法律制度とリサイクルの仕組み、実際のリサイクル状況、将来の見通しなどを詳しく紹介しました。
 リサイクルへの取り組みは各国の事情でそれぞれ異なっており、互いに他の国の状況には非常に高い関心をもっています。これまで海外への情報発信が少なかった日本からの発表ということで、大いに出席者の注目を集め、日本の取り組み状況を海外の人々に理解してもらう良い機会となりました。
 特に、2004年度には回収率を50%以上にするという目標は、会場に大きなインパクトを与えました。
 また、会議の際や何カ所かの訪問先において、日本の家庭での分別排出の説明をすると、皆、その分別排出品の品質向上に対する取り組みに感心していました。
 今回の世界に向けた情報発信で、容器包装リサイクル法のもと、指定法人ルートに基づいて日本のPETボトルリサイクルが極めてうまく機能していることや、日本の消費者の分別排出に対するレベルの高さなどについて、海外での理解が十分に進みました。
■ヨーロッパのリサイクル事情
 国際会議後に、スイスの最新リサイクル工場を訪問し、ヨーロッパにおける食品用リサイクル樹脂の技術動向について貴重な情報が得られました。
 また、ヨーロッパ全体のPETボトルに関する団体であるPETCOREとも直接情報交換を行い、日本と同じ方向でリサイクルに取り組んでいることがわかりました。
「ポリエステル2001」での日本の講演風景
 イタリアでは、日本の指定法人に相当するCOREPLAを訪問してイタリアのリサイクル事情を調査し、実際の再生処理工場もミラノで見学しました。
 イタリアの現在のリサイクルシステムは、市町村が収集し、COREPLAが責任をもってリサイクルするという仕組みになっています。リサイクル技術は、日本が手本にしたものなので大体似ています。プラスチックの回収も始まりましたが、分別収集していないため、自動選別から手選別に替えざるを得なくなったとの工場長の説明に、日本の分別排出に対するレベルの高さをあらためて感じました。