成熟した社会は相手に迷惑をかけない限り個人の自由を認めていく社会
環境問題というと、非常に悲観的に考えて、“もう地球はだめだ”みたいに考える人と、“全然問題ないよ”という楽観的な人と、いろいろな考えの人がいるでしょう。私はその時点その時点の最先端の科学で証明されていることをわかりやすく説明し、正しい理解に基づいた上でどう判断するかというのは各人の自由だと思っているんです。私が話をして、こうしたらというんではなくてね。例えば農薬について、「なぜ必要なのか」「農薬の安全をどうやって確認しているのか」までは理解してくださいとお話しします。それでもダメな方は無農薬や、減農薬の産物を多少高くても買えばいいと思っています。成熟した社会というのは相手に迷惑をかけない限り個人の自由を認めていく社会だと思うんです。きょうのPETボトルにしてもそう。そういう意味で、きちんとした理解に基づいた上で、あとの判断は自由。自分の判断が正しいからといって自分の考えを人に強制するのは違うと思います。
従来の大学の先生というのは、幾つ論文を書いたかというのが、その人の評価だけれども、特に現在の環境関係を考えると従来の公害とは違うわけですから、やはり研究した成果をいかに皆さんに理解してもらうか、そこは環境科学や環境問題を勉強している人はほかの学問を行っている人とは違うと思うんです。今の環境問題というのは、ある意味で我々のライフスタイルにも関係してきます。研究をして、論文を書いて、最後は本箱にしまっちゃったんではしようがないのです。その成果をいかに皆さんにお伝えするか。特にそういうことで、私は橋渡しみたいなことをしています。意識的に、時間がある限りお手伝いしています。
|