RING Vol.16

　2002年4月に株式会社クラレから分社化したクラレ西条株式会社。多彩な表現力をもつ衣料用ポリエステルフィラメント（長繊維）「クラベラ」をはじめ、高度な繊維化技術を駆使した高機能、高感性の繊維素材を生み出しています。さらに、液晶ディスプレイなどに使用され、世界一のシェア（約90％）を誇る「クラレポバールフィルム」や、多様なポリマーを原料とした超極細繊維メルトブロー不織布「ミクロフレックス」を生産しています。また、環境貢献型の事業として成長が期待される排水浄化用ＰＶＡゲル「クラゲール」、ＩＴ関連素材として有望な耐熱性プラスチック「ジェネスタ」などの新素材の生産にも取り組んでいます。
説明を受けるRING広報委員

　クラレ西条の主要製品である「クラベラ」の一部は、再生フレークをペレット化したものから作られています。再生ペレットは水分率が高い（2,000～3,000ppm）ので、乾燥工程で水分を飛ばします。乾燥しないと十分な性能をもったフィラメントにならないからです。その後、押出し機にて溶融混練の後、ギアポンプで計量し、高性能フィルターで異物を除去した後、ノズルから吐出して、巻取ります。出来上がった糸は仮撚・撚糸などの後加工工程を経て、主に北陸地区の加工場に送られます。加工場にて織編後、染色仕上げを行い、衣料品などの製品になります。「再生ＰＥＴ樹脂を使うことで、製糸性、染色均一性等種々の問題が起こる可能性がありますが、私たちの技術で使いこなしています。」（広瀬社長）
　通常のポリエステルペレットをフィラメントにするのと、ほぼ同一の工程・条件で再生ＰＥＴ樹脂を使いこなす。
　クラレ西条には1936年のレーヨンフィラメント生産開始以来の繊維技術が脈々と息づいています。