RING PETBOTTLE RECYCLING
資源循環型社会形成を目指して
神奈川県横須賀市
 人口約43万人の海と緑に恵まれた横須賀市。従来、「燃せるごみ」は焼却し、「不燃ごみ」は埋めるというごみ対策をとっていましたが、次第に埋立処分地が手狭になってきました。そこで、ごみの中に含まれている資源ごみをリサイクルにまわせば、ごみの減量化・資源化や環境への負荷が低減できるということで、その解決のための建設準備室を設立したのが1991年度でした。
 1995年の容器包装リサイクル法制定後、約1年間、市民参加型の廃棄物分別収集および施設整備検討委員会をもち分別のあり方等を探った結果、誕生したのがリサイクルプラザ「アイクル(Aicle)」(2001年4月稼動/横須賀市浦郷町)でした。「アイクル」(環境に対する「愛」と「リサイクル」の合成語)は、“循環型都市よこすか”のシンボルとしてリサイクル活動の交流拠点になっています。
 2001年、横須賀市のPETボトル回収は缶、びんとの“混合”でスタートしました。山が多く、平坦な場所が少ないので回収のためのステーションを広く確保できない事情もあり、また分別排出をする市民の負担を軽減し、協力を得るためにも、分別区分を少なくしたのです。分別徹底のため、市の職員が町内会・自治会へ出向いた「ごみトーク」は1,000回を超えました。広報誌やパンフレット(5ヵ国語)による啓発、モデル地区を設定しての検討も重ね、PETボトルに関しては「キャップをとって、洗う」ことを訴えました。
 「分別変更後の一人当たりのごみ排出量(日)も1,100から920gになり、埋め立てられていた不燃ごみの量(PETボトルを含む)は77%も減少しました。それに反比例して資源化率は13.6%(2000年度)だったのが、31.4%(2001年度)、37.5%(2002年度)と大幅に上昇しています。市民一人ひとりが本当によく協力してくれました」と語る 橋館長です。
 “ 自動倉庫 ”を初めて採用
 「アイクル」には缶、びん、PETボトル・容器包装プラスティック、紙類の「4種類10品目」の資源ごみが搬入されます。処理能力は1日当たり最大で220トン(5時間稼動)。今はPETボトルの処理量が急上昇しています。1日7トンの処理限界を超える日も出てきました。「アイクル」の特色は、日本で初めて生きる処理施設に採用された「PETボトル、缶、びん」専用の“自動倉庫型受入供給装置”にあります。プラットホームからの落差を少なくし、びんの破損を抑え、受入れ、貯留、払出しまでを総合的に自動運転します。
自動倉庫型受入供給装置 手選別されるPETボトル
 施設見学者はオープン以来1万2、3千人/年。リサイクルの普及とともに子供たちの質問も「リサイクルしたものがどこに行くのか。何になるのか」と、核心を突いてきます。アイクル施設説明員が「PETボトル(500ml入)1.5本でワイシャツが1枚できる」といった具体的な例を挙げると一層興味を示してくるそうです。「きちんと分別することが、処理コストを抑える基本なんです」。年4回開かれるアイクル・フェアでも、リサイクルの啓発は続きます。
(取材:RING編集委員)
横須賀市環境部リサイクルプラザ”アイクル”
高橋榮一館長

リサイクルプラザ“アイクル”ホームページ
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/aicle/
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