RING PETBOTTLE RECYCLING
欧州PETボトルリサイクル事情
毎年開催される、ポリエステル全体の製造・用途・リサイクルなどに関する権威ある国際会議「POLYESTER 2001」が2001年12月にスイスで開催されました。
その事務局から講演依頼があり、出席・講演するとともに、ヨーロッパのリサイクル事情を調査してきました。
各国の回収率

ヨーロッパにも日本のPETボトル協議会のようなPETCORE(PET Container Recycling Europe)という組織があり、経済性、環境適応性、社会性の三つの側面からリーズナブルなリサイクル技術を普及させるための非営利団体があります。そこの調査によると各国のPETボトル回収率は下記のとおりです。

ヨーロッパPETボトルの回収率(2000年)
(単位:千トン/2000年・PETボトル推進協議会の調査より)

イタリア
イタリアのPETボトルのベール
イタリアのPETボトルのベール

イタリアでは包装用プラスチック(多種類のボトルと包装用のフィルム・袋)が一括して収集されています。そのためリサイクル工場では各種プラスチック類からPETボトルを手選別で選り分けています。ベールにされたPETボトルは再商品化工場でフレーク生産されています。設備の違いはありますが、日本の工程と基本的には同じです。その再利用先は、繊維:86%、シート:13%、その他:1%となっています。

スイス

人口約712万人と少ないことから、PETボトルの回収量は23,800トンと少ないながらも、回収率は約82%(出典スイスリサイクル協会 2001年)と世界でも断トツの高リサイクル国です。

●チューリッヒの町で見かけたこと  
CO-OP(生協)以外では見つけられませんでしたが、リユースボトルを販売していました。興味に駆られ30分ほど観察していましたが、買っていく人は見られませんでした。十数回使用しているマークがついており、表面はかなり傷ついていて内容物が濁って見えることの影響もあったのかもしれません。同じ条件のものを現段階の日本で商品化することは、かなり難しいと考えられますが、そういう外観でも商品として認めているスイスとの国民性の違いを感じました。 チューリッヒの町で見かけたリユースボトル
チューリッヒの町で見かけたリユースボトル
●スイスの回収方法  
PETボトルの色数は多く、選別工場で透明・青・緑・褐色に分別されています。スイスでのPETボトル回収には独自のCollecting Boxが使用されています。 スイスのCollecting Box
スイスのCollecting Box
ヨーロッパでもボトルtoボトルに注目
ヨーロッパのPETボトル消費量は2000年で1641千トン・回収量280千トン、再生フレークの生産量は191千トン、2004年には383千トンに拡大すると予測されています。繊維・シート用に廻せる量には限界があり、2004年には105千トン程度の余剰が生じてくると考えられています。このためヨーロッパでもボトルtoボトル※1) は不可欠の状況になっています。
PETCOREではスイスで現在行われているレベルのメカニカルリサイクル※2) だけではボトルtoボトルが十分ではないと判断しており、ケミカルリサイクル※3) を普及させたいと考えています。今後のヨーロッパの動向に注目していきたいと感じました。
(「POLYESTER 2001」参加報告書より  日本ユニペット(株)前常務 永野豊)
※1)ボトルtoボトル:食用品として使用したボトルを再び食用ボトルとして使用すること。
※2)メカニカルリサイクル:マテリアルリサイクルで得られた樹脂を、さらに熱・真空・清浄ガスで十分に洗浄してボトルtoボトル用の樹脂にする方法。
※3)ケミカルリサイクル:化学分解法ともいわれています。ボトルを化学的に分解してPET原料の化学物質に戻し、再び樹脂を製造する方法。
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