RING PETBOTTLE RECYCLING
資源循環型社会を目指して
環境モデル都市へと変貌をとげた水俣市
市民と行政が一体となって
地域内の共同作業戦後高度成長期の中、水俣病という公害の大きな傷を受け、市民の健康被害や環境破壊のみならず、地域社会のコミュニティまでズタズタにされた人口約3万2千人の水俣市。その水俣病を教訓に、市民と行政が一体となって新生水俣市を目指すため、1992年「環境モデル都市づくり宣言」を行いました。市民がごみの適正な処理に携わることにより環境問題への取組みが始まるという考え方から、翌1993年よりごみ資源の20分別収集を開始しました。現在では23分別にまでなりましたが、ただ多分別なだけではなく、徹底した分別排出を実施することによってPETボトルを始めとする全ての資源物の品質レベルが高く、「水俣ブランド」と呼ばれ全国的に注目されています。
周りの高い評価がさらなる意識向上に
水俣市の資源は、市内に約300ヵ所ある資源ごみステーションで月1回、袋出しせずにそのままコンテナに排出し収集されています。水俣市は「資源ごみを出すまでは住民の責任」として、一貫して地域のことは地域内で解決してもらう姿勢をとっています。高齢者や障害者、都合で時間内に出せない世帯のごみは地域内で話合い、隣り近所に頼んだりとお互い助け合っています。この共同作業が希薄になりがちな近所付き合いの活性剤となり、水俣病によって崩壊したコミュニティの再生にもつながりました。
一方、市側は住民が排出しやすいようにリサイクルの七つ道具(スプレ−缶のガス抜き、ボトルのリング切り、排出後コンテナにかけるカバーなど)をコンテナと一緒に配ったり、排出時間や排出場所も住民主体で決めてもらい、常に住民の立場に立ってなるべく住民に負担のかからない方法を考えています。また、品目ごとに計量し、地区ごとに集計された資源の売却益は、地区の排出量に応じて助成金として還元しています。水俣市では、この責任区分を明確にして、地域内で全て行ってもらうことが品質のいい資源を生み出すきっかけになったと考えています。また、取組みを認知され、周りから評価を受けることにより市民の誇りとなり、さらなる意識向上につながってきています。
コンテナの設置
リサイクル推進委員を中心にコンテナの設置準備から協力しあう
さらなるごみの減量化を目指して
水俣市は、資源化率全国平均10%前後のところ、2000年度で24%と高い資源化率を誇っています。しかし、近年ごみの総量および減量率はあまり減っていません。そのため、分別より前段階の家庭ごみを作り出さない、ライフスタイル自体の見直しを呼びかけています。また、2002年度10月からは生ごみの分別収集も開始し、さらなる減量化を推進する予定です。
(水俣市福祉環境部環境対策課 草野徹也氏)
(取材 RING編集委員)
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