分別排出はあたりまえ
 沼津市は昭和50年、全国に先駆けて資源ごみを加えた3分別排出を開始した。早くから始まった分別収集も四半世紀が過ぎ、着実に市民の中にその意識は浸透し、分別された資源は質の高いものとして定評がある。
 沼津市では資源ごみの家庭内での分別排出というものを、市民が理解し納得した上で開始した。その背景には昭和48年におこった埋立地反対運動から、ごみを捨てられない、という危機に直面し、市民一人ひとりがごみ減量について考えざるをえなかったということがある。そこで、埋め立てごみの大半を占める不燃ごみの分類調査を行い、実にその2/3が有価物(びん、缶、古紙など)で、これを抜き出すことがごみ減量につながることがわかった。その実態を市民に周知し、行政で有価物を抜き出すのではなく、市民の段階で分別して排出する=「沼津方式」を考案、市民と行政が一体となって協力し実現された。
 「自治会の協力なくしては、清掃行政というのは成り立たない」ということを市は実感している。そのため出し方が変わるときには自治会の会合などをもって何度も説明会を開き、理解していただいている。これが高水準の分別につながっている。また、26年の間に段階を踏んで分別の種類が増え、子どもの時から家庭の中で分別排出することが生活の一部となっているため、「分別排出はあたりまえ」となって根付いている。
収集の工夫
 燃やすごみやプラスチックごみは同一のステーションで出すようになっているが、資源ごみは別の場所で収集して他のものと混ざらないようにしている。また、二次ごみがなるべく出ない様に資源ごみに関して、各家庭からの排出時に指定袋を使わず、前日に配る袋やボックスに“はだか出し"するよう市民にお願いしている。そして資源ごみ排出の際には、義務付けしているわけではないが、分別方法がわからない人のために、ステーションに立ち排出指導を行っている自治会が多数ある。
市民の努力が還元される仕組みを目指して
 今後は埋め立てごみをどこまで減らすことができるか、また消費者である市民だけに分別排出をお願いするのでなく、生産者・販売者のごみ減量の責任追求に取り組みたい。また、分別収集で民間回収できるものは市を通さず、その売り上げが自治会へ還元されるようにしている。生ごみ処理機の補助金を出したり、「すまいるしょっぷ」制度として、資源リサイクルに力を注いでいるお店を認定してPRしたりと、努力した人が報われる仕組みを常に検討し、進めていくのが今後最大の課題だ。
(沼津市生活環境部 ごみ対策推進課 鈴木勝課長補佐)
(取材 RING委員)
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