8.ステークホルダーダイアログ2010
推進協議会活動の原点と将来に向けて
―啓発ツール活用の有効策,再生品市場の活性化―
昨年に引続き「ステークホルダーダイアログ2010」を開催しました。今回は、子供から大人までリサイクル意識を浸透していただくための「啓発ツール小冊子等活用の有効策」とPETボトルリサイクルの利用製品が抵抗なく購入・使用されることを目指した「再生利用市場の活性化」の2題について意見交換を実施しました。座長は自治体代表として出席いただいた、柏市の石名坂氏に、お願い致しました。
以下に、皆様の意見の概要を掲載します。
写真:ステークホルダーダイアログ2010の様子(2010年8月3日開催)
ステークホルダーダイアログ2010の様子(2010年8月3日開催)
写真:石名坂 賢一氏
石名坂 賢一氏
千葉県柏市役所企画部企画調整課主査
千葉大学園芸学部非常勤講師
啓発ツールを作っていただいてありがたいのですが、実は、自治体の担当者で止まっている場合が多いのです。これではせっかくの情報データも、その先の活用ができないと無駄に終わってしまいます。推進協議会にはどのような啓発ツールがあって、どのように活用すると効果的であるという方法まで教えていただけるとありがたいと思います。
例えば、推進協議会のホームページを充実していただき、啓発ツールの情報データを共有化して、二次利用、三次利用と転用させていただけると非常に助かります。
写真:鬼沢 良子氏
鬼沢 良子氏
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長
啓発ツールを作成するにあたり、まず誰に何をどう伝えるのかというコンセプトづくりと、誰がどう活用してどう広がったなどの効果検証を繰り返し続けることが重要と思います。自治体をターゲットとし、市民にリサイクルの意義や分別排出の目的など正しい情報を伝えることが効果的ではないでしょうか。
再利用品の普及は、通常品の品質と比べても遜色ないことを伝えていけば、消費者は受け入れてくれると思います。再生資源利用事業者に対してはLCAの観点からバージン材と比較するなどしてCO2削減など再生資源利用のメリットを啓発していくことが必要ではないでしょうか。国内リサイクルシステムが安定するために、日常多く使われるものに再生品が使用されるような働きかけをしていくことが重要と思われます。
写真:平尾 雅彦氏
平尾 雅彦氏
東京大学工学系研究科教授
消費者や自治体などの多くの方々は、普段の生活の中では、製品ライフサイクルの流れについて知る機会がほとんどないために、リサイクルに関わる行動の意義が分かりにくいようです。より理解していただくためには、啓発ツールの配布だけに止まらず、face to faceでコミュニケーションすることが大事です。また、ツール内容も配布される側の視線に、より合わせて作成されてはいかがでしょうか。
欧米では、ブランド品にも広く再生材が利用され、それがブランド価値を高めていますが、日本では再生材への違和感から、メーカーも積極的に広報する傾向にはありません。近年、より環境を意識する消費者や自治体が増えています。消費者や自治体への啓発と、日本の技術力をもって、再生材への違和感をなくし循環性の高いワンステップ上のリサイクルが進むことを期待しています。
写真:徳武 信利氏
徳武 信利氏
小山化学株式会社工場長
当社はPETボトルの再商品化と主に自動車内装材用繊維に再生利用を行う企業です。リサイクル啓発ツールについては、社員教育などに有効活用しています。できれば、一枚でまとまったものがあれば有り難いと思います。
自動車関連は品質と価格のメリットがあれば、バージン材でも再生材でも関係なく使用するというのが実態です。
ガラスの微粉が混入すると繊維工程でトラブルが発生し、再生材を使用するメリットがなくなるので、指定法人の入札には遠方でもPETボトル単独収集の市町村を選ぶことになります。分別収集の品質の高度化について、推進協議会による市町村への強い働きかけを望みます。
写真:内海 正顕氏
内海 正顕氏
ウツミリサイクルシステムズ株式会社代表取締役
国内再商品化事業者が使用済みPETボトルの入手が困難である状況について、リサイクル啓発ツールに書いていただきたいと思います。
再生品市場の活性化のためには再生材に付加価値を付けていくことが重要だと考えています。衣料などへの採用にあたって、安定した品質の確保はもとより、再生材利用を証明できるトレーサビリティが求められるようになってきました。その点では、容器包装リサイクル法はトレーサビリティが担保できる優れた仕組みだと思います。
薄肉化の更なる推進は選別工程での歩留まりに影響し、品質の安定化が難しくなる等、再商品化の工程に影響が出ています。この点を検討いただきたく思います。
推進協議会からのコメント
本日は、それぞれのお立場から長時間にわたって忌憚のないお話を頂戴できましたことに感謝いたします。
このたび私どもは、「啓発ツール活用の有効策」および「再生品利用市場の活性化」というふたつのテーマを選択いたしました。いろいろな側面からのご指摘やご意見を聞かせていただきましたが、このふたつのテーマを別個の取扱いとするのではなく、使用済みPETボトルの安定的、持続的リサイクルシステムのためには、そのふたつともが互いに関連する重要な要素であるということを理解いたしました。これまでリサイクルは消費者の方々の分別排出という行為から始まることから、そのポイントを中心に啓発活動を行ってまいりましたが、その後のリサイクルと、その結果何にどのように再生利用されていくのかを、一連の流れとして的確に情報開示していくことが重要であるということです。この一連の流れを、簡潔に、誰にでも分かっていただける啓発物というものを考えてみたいと思います。
それからもう一点、分別収集の際のガラス片の混入がリサイクル適性を著しく阻害するというご説明がありました。市町村への啓発と言ったら失礼になるかも知れませんが、リサイクルを行う上での情報交換の余地がまだあるという意味でこれも重要なご指摘でした。
本日の内容をよく理解し、これからの活動に役立てたいと思います。
推進協議会の出席者
写真:会長 林伸行 写真:副会長 公文正人 写真:専務理事 近藤方人
会長 林伸行
副会長 公文正人
専務理事 近藤方人
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