■市町村の努力でベール品の品質が向上  
   ベールとはPETボトルを圧縮・こん包したものです(bale:俵、こん包:下の写真参照)。
 分別収集されたPETボトルは、市町村などの中間処理場で圧縮してベールにします。
 これは容積を減らす(減容化)ことにより、取り扱い性を良くし、少ない保管スペースで済むようにして運搬効率を向上させ、リサイクルのコストやエネルギーを低減させるためです。
 リサイクルの際に最も大切なことは、このベールにPET以外の異物を極力混入させないことです。異物が少なければ少ないほど、品質の良い再生樹脂が、より安いコストでできます。
 ベール品の品質は、年々向上しています。2000年度、Aランク品(非常に良い)は61.2%でした。2年前(1998年度:35.8%)と比べ、大幅に増加しています。
 後述のP14・トピックス−1で現状などを説明します。
 
 
無色透明なPETボトルのみによる、品質の良いベール。
 
  ■リサイクル率は世界の最高水準に  
  日本のPETボトルリサイクルの取り組みは海外に比べて遅れ、1993年に始まりました。しかし、法律施行後の4年間の間に、関係者のご協力によって劇的にリサイクルが進み、今や海外と比べてもリサイクル先進国となりました。
 その例としてリサイクル率で比較してみますと、日本の実績は1999年度が22.8%、2000年度が34.5%で、2001年度は当推進協議会の推定では44.5%と予想されています。
 これまで最も進んでいた米国は、再生樹脂価格の低迷をきっかけにリサイクル率が低下しました。
 一方、欧州(EU)のリサイクル率を見ると、日本と同様に、かなりリサイクルが進展しています。最新のデータ(2000年)では、リサイクル率は20.0%と報告されています。
 
  日米欧のPETボトルリサイクル率比較  
 
(出所)○日本=PETボトル協議会
○米国=NAPCOR資料
○欧州=PETCORE資料
 
  ■グリーン購入法が制定、再利用品の需要が拡大  
  再利用品は再生PET樹脂、再生PETフレーク※1)から、下記のような用途に使用されています。
 
 1.繊維
   PET樹脂はもともと、繊維用に開発された樹脂であり、バージン樹脂の代替として再生PET樹脂が使用されています。
 制服・作業服がメインですが、グリーン購入法※2)の制定もあり、順調に数量が増大しています。ほかの用途としてもカーペット、産業用資材、不織布(自動車の内装材、名刺、水切り袋、etc.)など広がりを見せています。
 
 2.シート
   スーパーで販売されている鶏卵はプラスチックのパックに入っていますが、今までは主に塩ビが材料として使用されていました。塩ビの代替材として再生PETフレークが使用され、その数量が増大しています。  
 3.成形品
   成形品は材料として汎用プラスチック樹脂であるポリプロピレン、ポリエチレンが使用されていますが、代替材として再生PET樹脂が使用され始めています。
 用途は文房具、下水道のふた、あき容器回収ボックスなど、多岐にわたっています。
 
 
※1)再生PETフレーク:
 分別収集されたPETボトルを異物除去して粉砕、洗浄したもの。詳細は「再商品化手法の展望」のリサイクル技術を参照ください。
※2)グリーン購入法:
 この法律は、国等に環境負荷の低減に貢献する製品(サービス)を積極的に購入することを義務づけるものです。国等とは国会、裁判所、各省庁、独立行政法人などを指します(地方自治体は努力義務)。2000年5月に制定され、2001年4月から施行されています。
 具体的には各機関が毎年度「調達方針」を作成・公表し、調達実績が翌年度に公表されます。
 本年度、対象となった製品(サービス)は14分野、101品目にわたっています。また、調達の判断基準が具体的に数値などで示されています。
 
  ■ボトル to ボトルの実現に向けて  
   食品用として使用したボトルを再び食品用ボトルとして使用することをボトル to ボトルと呼びます(ただし、再使用する、いわゆるリターナブルPETボトルは含みません)。
 再商品化に当たっては安全衛生性だけでなく、利用者(メーカー・消費者)が安心して使用できることが前提です。
 ボトル to ボトルでは3つの方法を検討しています。
 
 1.マテリアル法
   飲料に直接接触する内面に新しい樹脂を使用し、リサイクル樹脂を強度・厚さを保持する中間層として用います。  
 2.メカニカル法
   マテリアルリサイクルで得られた樹脂を、さらに熱・真空・清浄ガスで十分に洗浄してボトル to ボトル用の樹脂にします。  
 3.化学分解法
   ボトルを化学的に分解してPET原料の化学物質に戻し、再び樹脂を製造します。
 石油から出発したものと同等の樹脂を得ることができます。

 いずれの方法の検討結果も安全衛生性は満足しています。
 今後は利用者(メーカー・消費者)が、安全性とともに経済性も含め、安心して使用できるようにしていくことが必要となります。
 
  再利用品の需要先  
 
(出所)「再利用品の需要開発」参照