PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.41

再生樹脂利用事業者紹介

創業より培われてきた高度な技術で時代とニーズに応えた
再生PET繊維ブランド「&+®」を展開
東レ株式会社

 東レ株式会社は、1926年にレーヨン製造会社として創業し、現在では有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをコア技術として、繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスといった様々な分野に素材をグローバルに供給する総合化学企業です。2020年1月に回収PETボトルを原料として再利用するリサイクルポリエステル繊維ブランド「&+®※1(アンドプラス)の販売を開始しました。
2021年には繊研新聞社主催の「第52回繊研合繊賞」において、「&+®」の展開拡大でサステナブル部門賞を受賞。
創業より培われてきた高度な技術を活かし、時代とニーズに応えた新素材の開発・提案を続けています。

再生PET繊維ブランド「&+®」から推進するサステナビリティ・ビジョン

 東レは「&+®」をPETボトルリサイクル活動のシンボルとして、広く訴求するとともに、高付加価値PETボトルリサイクル繊維のグローバルな拡大を目標としています。この製品のテーマが「共に創る、自分らしくいられる未来を」である通り、活動に関わる回収者・生産者・消費者が相互に繋がることを促進し、社会的なムーブメントに高めるためのアプローチを重視しています。
 まず製造に向けた課題は品質確保であり、これまでは混入異物により、製造される糸種が定番品に限られるなどの難点がありました。これに対して「&+®」では、PETボトルの高度な洗浄・異物除去の技術を持つリサイクラーとの協業で、高品位な原料の供給安定化に取り組んできました。その後、ペレット化されたものは高付加価値な製品の生産が可能となりました。
 また、一般的に合繊繊維の糸の断面は丸いものが主ですが、近年では多様な生産技術を用いて、糸を異型断面にすることで、さまざまな風合いや機能を付与しています。
 その技術を東レ独自の紡糸口金・ポリマー技術により極限まで追求したものが、ナノサイズの革新複合紡糸技術「NANODESIGN®※2(ナノデザイン)です。今後は「&+®」についても「NANODESIGN®」技術などにより、さらなる高付加価値化を検討していきます。
 回収したPETボトルを活用し、糸だけではなく生地や製品のオペレーションも複合した工程の組み合わせで、より特徴のある開発を進めていくことが、さらなる循環型社会の貢献にも繋がっています。

※1、※2:「&+®」と「NANODESIGN®」は東レ株式会社の登録商標です。

ブロックチェーンを活用したトレーサビリティシステムの開発

 東レでは、2050年までの達成を目指す「サステナビリティ・ビジョン」の一つとして掲げる「資源が持続可能な形で管理される世界」に向け、製品の回収・再利用などによる循環の可視化・透明化にも着手しています。これは回収されたPETボトルの出処を証明できるよう、サプライチェーンを通してロット番号で管理するもので、ブロックチェーン技術を有する企業と協働し、「&+®」を使用したアパレル商品のタグにQRコードをつけ、トレーサビリティシステム構築のための実証実験を2022年から開始しています。製品を通じて、信頼性の確立は勿論、消費者を含むステークホルダーの循環型社会への参加を促すことで、資源の持続性・循環が普遍的となる社会の実現の推進に貢献しています。

「&+®」浸透のための社員への取り組み

 東レグループでは、繊維事業のほか、樹脂、フィルム、炭素繊維、医薬・医療事業など多くの事業を行っております。そのため、東レグループ従業員への「&+®」活動啓発のため、オフィスや工場の自販機やリサイクルボックスに、独自に作成した「PETボトルを繊維に」などのメッセージを表示した「&+®」のステッカーを掲示。インナーブランディングを推進していくための取り組みを行っています。

(取材日:2023年3月29日)

繊維GR・LI事業推進室長 兼 地球環境事業戦略推進室 主幹 小倉 由美子
繊維GR・LI事業推進室 主席部員 白石 肇

東レ株式会社
本社:東京都中央区日本橋室町2-1-1 日本橋三井タワー
大阪本社:大阪市北区中之島3-3-3 中之島三井ビルディング
設立:1926年(大正15年)
従業員:7,175人(国内・海外関係会社含む合計48,842人)(2022年3月末現在)
URL: https://www.toray.co.jp

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