

協栄産業株式会社は、2011年よりサントリーグループとの協働で飲料用ボトルとして繰り返し使うことができるボトルtoボトルリサイクルの開発・普及に取り組み石油資源の利用抑制と大幅なCO2排出削減に成功しました。また、2018年には世界初となる「F(フレーク) to P(プリフォーム)ダイレクトリサイクル」を共同開発しました。これは、回収したPETボトルから飲料用PETボトルをつくる上で従来のプロセスだった、ペレット製造時とプリフォーム製造時の2回の樹脂溶融工程を1回に集約するもので、輸送・製造コストの削減およびCO2の排出量の約25%削減を可能とする技術です。このFtoP製造ラインは、2020年に増設され生産数を増大し、時代に先駆けて、PETボトルからPETボトルへの水平循環型リサイクルを推進してきました。
これまでは東日本にしかボトルtoボトルの事業所がありませんでしたが、2018年に起こった西日本豪雨を受け、道路が寸断するなどの影響によるBCP(事業継続計画)の観点から、西日本にもボトルtoボトルの拠点となる工場設立の要望が、大手飲料メーカーより多く挙がりました。そこで協栄産業は、以前より取引のあったJ&T環境株式会社との合弁により、2020年にリサイクル原料製造メーカーとして「協栄J&T環境株式会社」を設立、三重県津市のJFEエンジニアリング(J&T環境の親会社)津製作所内にて着工からわずか1年でフレーク製造工場を竣工し、「西日本PETボトルMRセンター」として商業運転を開始。22年にはペレット工場も稼働し、中部・東海地区で初のボトルtoボトル原料の製造を一貫して行う工場を立ち上げました。迅速に事業展開を進めた理由としては、2018年の中国による廃プラスチック輸入禁止措置もあり、国内で排出される廃PETボトルの行き先がなくなることを見越してのことでした。

PETボトルの仕入れは、容器包装リサイクル協会(容リ協)ルートと自販機やコンビニ・店舗など事業系回収会社との取引が半々となっています。事業系回収PETボトルの課題としては、やはり品質がさまざまであることです。特に内容物が残っているものが最も支障があり、これはキャップ・ラベルを取って、ボトルと同じリサイクルBOXで回収されるだけでも、かなり改善されます。分別さえされていれば、多少汚い品質のボトルでも技術力で補い、高い品質の再生が可能です。
さらに協栄産業が独自開発した「MR-PET」は、バージン原料と同等の評価を実現した高品質樹脂です。最先端のテクノロジーで表面についた汚れはもちろん、真空・高温下で樹脂の中に染み込んだ不純物までを徹底的に除去。さらには物性の劣化を防ぎ、基準となるIV値(固有粘度)を0.80に回復させ、同じ用途で繰り返し使用可能となっています。
協栄J&T環境のPETボトルリサイクルは、原油からPET樹脂を生産するのと比較して63%のCO₂削減効果があります。また、工場建屋の屋根には太陽光発電設備を設置しており、このエネルギーも加味すると、CO₂削減は約65%削減となります。さらなる効果のため、ボイラーに使用されるLPガスを天然ガスに変えることも検討中です。
今後もボトルtoボトルを志す人々とともに、安全な品質の再生PET樹脂を供給し、循環型社会への貢献を継続していきます。
(取材日:2023年4月5日)

代表取締役社長 古澤 栄一
取締役 冨岡 浩一
センター長 周藤 孝雄
協栄J&T環境株式会社 西日本PETボトルMRセンター
本社: 重県津市雲出鋼管町1番地 JFEエンジニアリング津製作所内
設立: 2020年
処理能力:6万トン/年(約30億本/年)
URL: https://kyoei-jtkankyo.co.jp