

千葉県北西部に位置し、東京都・埼玉県とも隣接する松戸市の人口は約50万人。都心からは電車で約30分の距離にあり、そのアクセスの良さから首都圏の住宅都市として、子育て世代を中心に発展を続けています。松戸市では、1997年より他の自治体に先駆けてPETボトルの集団回収に取り組み今日まで持続しています。

ごみ集積所に設置された回収用ネット
松戸市でのPETボトルの回収方法は、町会・自治会・マンション管理組合・学校PTA・子ども会など概ね20名以上からなる団体が組織・運用している集団回収(リサイクル活動)と、市の施設やスーパーなどの協力店舗で行う店頭回収となっています。集団回収においては、町会・自治会約5割、マンション管理組合が約4割、その他団体が約1割の488団体(2021年度末)が現在活動中。この住民団体と、市に登録された民間の回収業者(2022年5月現在23社、そのうちPETボトル回収業者は8社)が直接交渉し、資源物の回収品目・日程・収集場所などを取り決めます。回収方法としては、各家庭の前に回収品を出す軒下回収と、収集場所に設置された回収用ネットに排出する拠点回収の2通りとなります。こうして集められたPETボトルは、市内にあるリソースガイア株式会社に納入され、その後、全量が日本容器包装リサイクル協会(容リ協)に収められます。
また、回収された資源の量に応じて市からの奨励金制度があり、住民団体には10円/kg、回収業者には62.5円/kgが支払われます。この奨励金は各団体の活動資金として、集積所・掲示板の修繕や会員交流などに有効活用されています。

(左から)中村氏、斉藤氏
回収量の割合は、集団回収が96%を占め、店頭回収は4%(2021年実績)となっています。松戸市は市制施行以来、他の市町村との合併がなく、収集方法を変更せずにきたことがこの継続を生み出してきました。課題があるとすれば、町会・自治会などに参加していない層への対応が挙げられます。現在、町会・自治会の市民参加は約67%まで減少しており、今後の集団回収の維持には懸念があります。
啓発活動としては、市で発行するチラシの配布や、依頼に応じた集団回収についての出前講座、コロナ禍前には祭りなどでブースを設置しての活動も行っていました。春・秋の年2回は、クリーンデーを開催。路上に捨てられているごみの一斉清掃を通じ、美しいまちづくりに努めています。こうした地道な取り組みを積み重ね、持続可能な社会の実現を目指していきます。
(取材日: 2022年12月26日)
松戸市 環境部
環境業務課 課長補佐 平松 冨美代
同課 管理係 中村 俊春
斉藤 有弘

リソースガイア株式会社
本社工場 所長代理
平野 昇
リソースガイア株式会社は、分別排出されるPETボトル、缶類、びん、古紙などを同一事業所内でリサイクル処理できる国内でも数少ない施設です。容器包装リサイクル法に初年度より対応し、PETボトル処理に関しては2001年よりベールまでではなく、再生フレークにする設備を一挙導入。全処理量の約70%を占める松戸市からの回収分はベール、その他回収分は再生フレークにして出荷しています。松戸市で回収されるPETボトルは、ネットを使用した集団回収による排出物の見える化や、地道な啓発活動も相まって、ラベル・キャップを取って洗浄されたものが多く、継続して高い水準の回収が行われています。年々リサイクルも高品質を求められる中、現状の設備を修理・改善しつつ、より地域に有益な企業として成長を続けています。
(取材日: 2022年12月21日)