PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.40

資源循環型社会形成を目指して

埼玉県蓮田白岡衛生組合

 埼玉県の中東部で隣接する蓮田市と白岡市。人口はそれぞれ約6万2千人、約5万3千人。緑に恵まれ、子育てに適した落ち着いた環境と、映画やCMのロケーションに選ばれる美しい景観。そして都心へのアクセスも良いことから、ベッドタウンとしての特徴も有した地域です。

啓発から収集・処理まで住民に寄り添った活動を推進

 蓮田白岡衛生組合は、住民へのごみの出し方の説明から収集、処理までを一括して行う全国的にも珍しい組合です。
 PETボトル回収は、2012年10月よりガラスびんとの混合収集から単独収集に切り替え、月2回隔週で集積所のネットに入れる方法での回収を実施しています。蓮田市内での回収分は一度、蓮田白岡環境センターに保管後、(公財)日本容器包装リサイクル協会を通して中間処理。白岡市内回収分は、環境センター近くの株式会社トモノに直接搬入し、分別・ベール化・保管までを行い、組合が独自に入札した上で売却されています。
 同時に、単身高齢者・障がい者などの排出作業が困難な世帯を対象に、組合職員が直接訪問し、ごみや資源物を収集する「ふれあい収集」も開始しました。その他にも集積所の管理や不明な点があれば説明へ出向く職員出前講座など、住民に寄り添った活動が心掛けられています。
 2013年4月に環境センター内に開設されたリサイクルステーションも回収方法のひとつとして有効となっています。この施設では毎週日曜日に住民が自由に資源物の持ち込みができる場となっています。PETボトル以外にも小型家電や電子機器、衣類なども無料での引き取りを行っています。
 また、キャップ単独の回収も行われています。これも全国的に珍しい取り組みで、ボトル本体とは別に、集積所で袋または容器を使った回収方法をとっています。加えて、対象地域に23ある小中学校と連携したキャップ収集も実施。協力校には年度末に謝礼という形で肥料を贈りました。また、牛乳パックの回収では、トイレットペーパーを、廃食用油の回収では、石鹸のリサイクル品を贈り、若年層に資源循環を理解、実感してもらうための機会となっています。

事業継続に向けた職員と委託事業者の連携

 新型コロナウイルスの影響による在宅時間の増加に比例して家庭ごみも全体的に増加傾向にあります。その様な中、市民の暮らしを守る上で必要な業務を行っていることから、職員はもちろん、委託事業者にも積極的にワクチン接種を受けてもらいました。また、作業時には、マスク、消毒液、ゴム手袋など感染対策に必要な消耗品を配布し、高い意識をもって感染対策を実施していることにより、関係者に感染者は一切出ることがなく、収集が滞ることもありませんでした。職員と委託事業者の連携はコロナ禍以前より重視されており、業者側に欠員が出た場合を想定し、クレーン免許所持の職員が応援できるような準備が進められてきました。いかなる時も、安定した事業を維持していくことが廃棄物行政のあり方だと考えられています。
 収集時の集積所には、市民から感謝の手紙が数多く届きました。手紙は施設内に展示され、職員の日々の励みとなっています。

今後の取り組みに向けて

 2016年4月に導入した、住民向けのごみ分別アプリが好評です。アラート機能により、翌日が何の回収日かを確認できるという利点があります。ここではリユース品の展示販売などのイベント案内も合わせて行っています。また2022年3月より、不用品を無償または有償で必要な人へ譲渡する場を提供する情報サイト「ジモティー」と提携。こうした新しい取り組みが、ごみの排出量を削減し、さらなるリユース活動の推進に役立っています。
 今後の懸念としては、資源循環型社会に向かいますます分別が進むことで、経費と住民への負担が増えることです。そうした環境変化にも柔軟に対応しながら、できる範囲での工夫を重ねていくことが必要だと考えています。一般財源でも賄えるように費用対効果を考え、これまで通りに安定した事業の継続が期待されます。

(取材日: 2022年3月15日)

蓮田白岡衛生組合 事務局長 黒﨑 晃
施設管理課長 藤井 勇年

(左から)黒﨑氏、藤井氏

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