PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.40

資源循環型社会形成を目指して

神奈川県藤沢市

 神奈川県のほぼ中央南に位置する藤沢市は、人口約44万人。江の島をはじめ、片瀬・鵠沼・辻堂など全国的にも有名な海岸を有し、観光も盛んな湘南の中心都市として知られています。また交通の利便性や、恵まれた自然と良好な住・教育環境を求める人達により、人口は年々増え続けています。

PETボトルの戸別回収から高品質な再商品化を目指す

 藤沢市では、2012年よりPETボトルの戸別回収が2週間に1回の頻度で始められました。回収時間は通常午後からとなっていますが、駅周辺の商業地域ならびに一部の江の島などの観光地域においては、カラス対策、景観維持や観光客への配慮から、早朝に作業が行われています。
 回収方法としては、ポリ袋を使用せず、戸建は各家庭で用意されたポリバケツ、集合住宅などでは市で貸与しているネットに入れる回収方法を採用しています。それにより回収時や中間処理過程での作業効率の向上、再商品化においても、異物低減となるため、高品質なベール(圧縮梱包)の提供に繋がっています。

コロナ禍での啓発

 市民への啓発としては、市のホームページ、ごみ分別アプリを中心に、LINEや広報誌など、複数の媒体を利用して回収方法の説明を発信しています。近年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅機会増加と並行して回収量が増加しており、搬出物から職員への感染による収集体制の縮小リスクを懸念し、「飲み残しがないようにこれまで以上に飲み口などをよく洗い流し、完全に乾燥させて出す」など繰り返し注意喚起を実施しています。また、小学4年生を対象にした体験学習を定期的に実施しています。児童たちが直接リサイクル現場を見学することは、再商品化に向けた分別回収の重要性を知る貴重な機会でそこで芽生えた意識を各家庭に持ち帰ってもらうことが、より深い理解を得る啓発活動になっています。

環境意識の高い市民の協力と企業との連携

 市民には、回収されたPETボトルがどのように再資源化されているか効果的な周知を図るため、藤沢市では再商品化をイメージしやすいボトルtoボトルを推進しています。昨今、安定してリサイクルに適した綺麗なPETボトルを回収していることが、周辺の市町村からも注目を集めています。ここに至るにはもちろん、市民の皆さまの理解と協力は不可欠ですが、人気の観光スポットが点在する土地柄、元々市民の環境意識は高く、市にはごみ収集ボランティア約800団体が登録され、その活動はほぼ毎日行われています。こうした市民性も資源循環型社会形成に向けての大きな助力となっています。
 また、ボトルtoボトルを推進する企業との協力関係も独自に構築しています。セブンイレブン・ジャパンと協定を結び、市内30店舗に専用のPETボトル回収器を設置。市は店舗から回収事業者への運搬業務を担当しています。これには観光客が持ち込むごみへの対応や、海岸などへの不法投棄を防ぐ側面もあります。

 今後の課題としては、回収されるPETボトルのさらなる品質向上です。まだ「資源とごみの分け方・出し方」のルールが守られていない、主に若年層への啓発を中長期的に進めていきます。再商品化で協力する企業とは、より緊密な関わりを目指します。さらに高品質な再商品化を進め資源循環型社会形成に貢献していきます。

(取材日: 2022年1月27日)

藤沢市 環境部

環境事業センター 主幹 高橋 浩行
同センター 松田 了映
藤沢市資源循環協同組合 所長 野毛 政利
同組合 副所長 原田 幸信

インタビューを受けたいただい方々。(左から)松田氏、高橋氏、野毛氏、原田氏

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