PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.40

再生樹脂利用事業者紹介

食品メーカー・キユーピーグループのサステナビリティに向けた取り組み
包括的に3R+Renewableを実施し
サーキュラーエコノミーへの移行を推進
キユーピー株式会社

キユーピー ドレッシング スティックタイプ

キユーピー テイスティドレッシング

 1919年の創業より、マヨネーズやドレッシング、ミートソースなど日本で初めてとなる商品を発売。「おいしさ、やさしさ、ユニークさ」をもって、健康的で豊かな食生活の実現を目指すキユーピーグループは、原料に強くこだわり、内食・中食・外食に幅広い展開を続けつつ、育児食や介護食などにも深く関わる、国内有数の食品メーカーです。
 社会・環境活動においては、キユーピーグループ「サステナビリティ基本方針」を策定し、「資源の有効活用・循環」と「気候変動への対応」を重点課題として、グループ全体で取り組んでいます。

プラスチックの削減と再利用

 キユーピーグループは、包括的に3R+Renewableを実施し、サーキュラーエコノミーへの移行を推進しています。しかし現状、食品の品質確保の性能に特化したプラスチック容器は、業界にとって欠かせないものとなっており、消費者からの需要を加味しても、完全な脱プラスチック化は決して容易ではありません。まずはプラスチックを有効な資源と捉え、マヨネーズやドレッシングのボトルの軽量化を図ることでプラスチック量を削減するなど、段階的に環境配慮型の容器包装開発を行ってきました。
 より環境負荷を小さくするため、資源循環の発想から、使用済みPETボトルが原料となった再生プラスチックの活用も推進しています。外装フィルムに再生プラスチックを約15%使用した「キユーピー ドレッシング スティックタイプ」を2020年2月中旬出荷分から採用。これにより、石油由来原料やCO2排出量を削減することが可能となります。また、「キユーピー テイスティドレッシング」シリーズのボトルにも再生プラスチックを使用。こちらは2021年6月下旬出荷分からの採用となっています。
 再生プラスチックのボトルへの使用は、キユーピーグループでは初めてのことで、実現までに約2年を要しています。開発当時は、業界全体を見ても油脂食品ボトルに再生プラスチックを使った前例がなく、安全性や機能性の検証のために、研究開発本部や品質保証本部、生産本部が連携。ボトルメーカーの協力もあって、ようやく商品化に漕ぎつけました。

さらなるビジョンに向けて

経営推進本部 サステナビリティ推進部 部長 山本 英之

 飲料業界で奨められているボトルtoボトルと同様に、マヨネーズボトルの水平リサイクルも課題です。ただ課題の一つは、消費者からの資源回収です。マヨネーズやドレッシングは、消費に一定の期間がかかるため、飲料ボトルのように頻繁に排出されるものではありません。また、油を使用している製品ということから、汚れや匂いが残りやすい点で、再生プラスチックの品質への影響も懸念されるため、単体での資源回収は困難だと考えています。外装フィルムを含めたパッケージの紙への代替、外装自体をなくすということも検討しましたが、まずは消費者の理解と評価が大前提です。そして消費者側を鑑みれば、より分別しやすい、シンプルで統一性を持ったルールづくりが必要となってきます。これには個社での取り組みだけにこだわらず、食品業界が一体となって推進していくべきだとキユーピーは考えています。
 今後は再生素材の価格動向にも注目しつつ、品質保全にきめ細かい配慮を重ね、さまざまな可能性を考慮した上で、より良い環境活動を展開していきます。

(取材日: 2022年3月8日)

キユーピー株式会社
本社: 東京都渋谷区渋谷1-4-13
設立: 1919年(大正8年)
従業員: 10,719人(連結、2021年11月末現在)
URL: https://www.kewpie.com/

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