PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.40

再商品化事業者紹介

ウツミリサイクルシステムズ株式会社
「もの・空間・まちづくり」を通じて社会の変化によって生じるさまざまな課題解決に取り組んでいる企業

ウツミリサイクルシステムズ株式会社 りんくう工場

ウツミリサイクルシステムズ株式会社は、1993年に創業。容器包装リサイクル法が施行された1995年より、PETボトルリサイクルの専業メーカーとして、業界初となる回収から最終製品の生産までの全工程を一貫で生産する工場を立ち上げました。
リサイクルの用途開発と安全性の確保を基本コンセプトに、大阪・東京・福岡の営業拠点に加え、大阪府下に2つの工場を構えて事業を展開。またISO9001を取得し、日本プラスチック工業連盟、PETトレイ協議会とともに、ISO国際会議TC61にオブザーバーとして参加。日本発となるリサイクル原料の安全衛生性に関わる規格の提案にも、積極的に加わっている企業です。

一貫生産方式を生かした保証の構築

 ウツミリサイクルシステムズ株式会社では、一貫生産方式の優位性を生かし、生産履歴・安全性・安定供給それぞれの保証に努めてきました。PETボトルの納入先や、詳細なロット番号表示などの徹底した品質管理に加え、トレーサビリティシステムによる履歴情報の開示を可能にしています。安全性においては、既存のリサイクル原料とは異なる厳しい基準の一つ、厚生労働省によるガイドラインとFDA認証に適合しています。また、2012年には日本企業では初めて、国際認証機関Control Union CertificationsによるGRS(Global Recycled Standard)認証を取得しました。安定供給の面では、PET樹脂の重合度をバージン素材と同じレベルまで回復することができる設備を活用。何度でもリサイクルできる、完全循環システム方式を実現しています。

リサイクル業界の現状とニーズに合わせた多様な取り組み

ボトルtoボトルが飲料業界全体の指標となった昨今、拡大する需要への対応として、大手商社と共同で子会社を立ち上げ、新規の再資源化事業を推進しています。三菱商事プラスチック株式会社とはURSハリマ株式会社を設立、2022年3月に操業が開始されました。また豊田通商株式会社とは、豊通ペットリサイクルシステムズ株式会社を設立し、同年5月より操業を開始いたします。ボトルtoボトル用途の再生原料の製造能力は、それぞれ年間で5万トン規模を見込んでいます。
 また、激化する大手リサイクル事業者との競争を念頭に置くと、独自の事業戦略にも目を向けなければなりません。従来から事業としている食品トレイの製造においては、フードグレード用途の設備を逐次増強。欧州委員会の動向を鑑みても、現在主となっているPS(ポリスチレン)素材は、環境面での評価が低いため、今後はPET素材への代替需要を獲得することが目標となります。それにともなう商品開発として、PETトレイの弱点である耐熱性を改善すべく、耐熱性の高い素材であるC-PETを製造する設備を導入。すでに生産が行われています。

代表取締役 内海 正顯

 キャップtoキャップにも着手しています。現状では、ゼロから飲料用キャップを回収してのリサイクル事業では、費用対効果が見込めません。しかし、自社で購入している自動販売機などの事業系で回収されているPETボトルにはキャップも含まれており、これを利用して、ボトルtoボトル用途で培ってきた除染技術を生かし、キャップの再生原料を生産する設備竣工が2023年6月に予定されています。
 PETリサイクル事業者として、常に時代と顧客ニーズに合わせた技術開発に努め、精力的に用途開発を進めるウツミリサイクルシステムズ株式会社には「リサイクルは用途が全てを制する」という企業理念のもと、より良い資源循環型社会に向けた確かな展望から、さらなる二の矢、三の矢が用意されています。

(取材日: 2022年3月2日)

ウツミリサイクルシステムズ株式会社
本社: 大阪府大阪市中央区久太郎町2-4-27 堺筋本町TFビル8F
設立: 1993年
従業員:154名(2021年5月現在)
URL: https://utsumi-k.co.jp/

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