PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.39

新しい価値を創造 再び戻る資源循環を

株式会社フジシール

ラベルもリサイクルへ第一歩

上陰 那央

株式会社フジシールインターナショナル
環境サステナブル推進室

室長 上陰 那央

シュリンクラベルを含むPETボトル用のラベルは、燃焼(サーマルリサイクル)をされることが多く、最良のケースでもカスケードリサイクルとなっているのが実状です。そこで、フジシールグループでは製造者責任という見地から、シュリンクラベルの水平リサイクルの検討に着手しました。シュリンクラベルの質の高いリサイクルを阻むものとして、印刷インキによる着色やシュリンクラベルならではの材質が挙げられます。
それらの課題を解決すべく米国では、リサイクル協会APRのガイドラインに則り、アルカリ温水で脱離可能なインキ、およびPETボトルと一緒にリサイクル可能なフィルムを使用したRecshrink™を上市し、食品メーカー様、飲料メーカー様にてご採用いただいております。
日本においてもシュリンクラベルを有効活用いただくために『ラベルtoラベル』の実現、さらには脱離されたインキの再利用化に向け、業界を越えて協業し、積極的な研究を続けていきます。

日本クロージャー株式会社

キャップリサイクルに向けた課題とバイオマス樹脂を使った製品開発

北出 祐介 篠田 和正

常務執行役員 営業本部

篠田 和正

営業本部営業推進部

リーダー 北出 祐介

PETボトルと同様、キャップにおいても、マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクル技術への関心が高まっていますが、その実現には多くの課題があります。キャップもプラスチック容器包装として分類されますが、単体での回収システムそのものが整っていません。分別に関しても、厳密には素材・印刷・色付が多種であるため、水平リサイクルの実現にはまだたくさんの課題があります。
再利用における衛生面の担保も、PET樹脂ならば熱処理による有毒物の気化が可能ですが、キャップの素材であるポリエチレンは高熱に耐性がないため、同様の処理はできません。理想は、循環型となるキャップtoキャップですが、まずはさまざまなアプローチから、段階的に取り組む必要があると考えます。
環境対応型の商品としては、とうもろこしを原料としたバイオマス樹脂を30%配合した飲料PETボトル用キャップを開発。これは石油由来樹脂を使用した場合に比べ、CO2排出量は約40%削減でき、市場での採用も増加しています。今後は2023年を目標に、できる限りコストを抑え物性の問題を改善し、バイオマス樹脂100%仕様のキャップ開発を進めていきます。

凸版印刷株式会社

ボトルtoボトルに加え、さまざまな出口の確保も重要

上陰 那央

生活・産業事業本部パッケージソリューション事業部
サステナブルパッケージングセンター

担当部長 川田  靖
     堀地  綾

リサイクルが進んだ社会を実現するには、環境対応と経済性に目を向けることが鍵となります。再生材の利用拡大には、入り口の品質に加え、再生材の利用先となる出口も考慮しなくてはいけません。そのためには、リサイクル資源の多面的な用途に理解を広め、より多くの出口を確保していくことが大切であると凸版印刷は考えています。
パッケージにおいて早期に、再生材を積極的に採用していただいたのは、株式会社セブン&アイ・ホールディングス様でした。グループ各社の店頭で回収した使用済みPETボトルを原料の一部とした「メカニカルリサイクルPETフィルム」を使用して、多様なプライベートブランド商品を展開され、これをきっかけにさまざまな分野に採用が拡大していきました。
今後、凸版印刷では世界的にも広く採用されている、高いバリア性がある透明蒸着フィルム「GL FILM」の展開とともにリサイクルプラスチック材活用によるパッケージ開発をさらにすすめ、サステナブルな社会の実現に貢献します。

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