PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.39

世界最高水準のリサイクル85.8% 達成はみんなの努力で

多くのお客様から支持されているPETボトル入りの飲料。PETボトル、キャップ、ラベルがあって商品が完成しています。
世界最高水準のリサイクル率、さらに軽量化のリデュースも同様にPETボトル、ラベル、キャップの三位一体の取り組みの成果です。

株式会社フジシールは、シュリンクラベル・タックラベル事業などをグローバルに展開。環境対応、リサイクルを中心に開発への取り組みを伺いました。

使用済みPETボトルから再生された原料でシュリンクラベル、タックラベルを製造

フジシールの環境配慮型製品は、創る(開発)、作る(製造)、売る(販売)の3つの観点から取り組んでいます。
創る(開発)では、主に再生材の使用や製品の軽量・減量化での原材料削減。作る(製造)では、梱包の最適化による資材削減、輸送効率の改善や装着機械の生産性向上でのエネルギーとCO2排出量の削減。売る(販売)では、シュリンクラベル、タックラベルは輸送時などには破れにくく、消費者が分別する際には、剥がしやすい包材を追求。開封し易くするシュリンクラベルの工夫では、64件の特許を取得しています。
またボトル自体の着色はせずに、賞味期限を延ばすための遮光性を持った乳白ラベルを提供しています。さらに使用済みPETボトルから再生した原料を使用したラベル製品も展開しており、再生材を使用した製品売上のKPI(重要業績評価指標)を定め、広く推進しています

シュリンクラベル

シュリンクラベルは、熱収縮の力で容器の形状に合わせてフィットすることから、ボトルデザインの自由度が高く店頭でのアイキャッチにも優れております。さらに、ボトルから簡単にはがせるように、容器形状にあわせたさまざまなミシン目形状の工夫をしています。

タックラベル

タックラベルもシュリンクラベル同様、糊残りせず、ボトルから簡単にはがせる大きなメリットがあります。

乳白ラベル

PETボトルを着色することなく、賞味期限を延長させるための工夫として、遮光機能を備えたフィルムでラベルを製造しています。これによりボトルのリサイクル適性を保ったまま、機能性の向上に貢献しています。

日本クロージャー株式会社は、日本のみならず海外でも展開するキャップのリーディングカンパニー。キャップの開発・リサイクルについて伺いました。

キャップの軽量化と構造の工夫で進められてきた環境配慮

環境を考慮し、まず注力したのが軽量化で、コスト削減にも役立ちます。1996年に、飲料用小型PETボトルが急速に市場拡大した頃から、品質・強度を守る最適な肉厚を見極めながら、段階的に開発を続けてきました。現在、国内最軽量のアセプティック充填(無菌常温充填)用2.05gのキャップは、初期のものより35%軽量化に成功しており、2020年から商品化されています。
また、リサイクル性を向上した製品として、調味料用途で使われている「スムーズプルヒンジ」のキャップがあります。分別しやすさを考慮し、従来の「引き上げタイプ」から「回し取りタイプ」に改良、排出の際の分別廃棄を容易にしました。また、昨年度成立した欧州での使い捨てプラスチック製品禁止法案にともない、ごみの削減・散乱防止の観点から、開けた後もボトルと連結して落ちない構造の「ストラップバンドキャップ」が海外で注目されています。

飲料用キャップの軽量化

開栓時にPETボトルの口突部にフラップが引っかかり、バンドがPETボトル口部に残るようにしていましたが、フラップをフックに変更し、全体の肉厚を薄くしたことで最軽量キャップが実現できました。

スムーズプルヒンジ

主に調味料用途のPETボトルに使用され、ヒンジタイプの上蓋を回し取ることで、簡単にキャップが取れ、分別廃棄ができるように工夫しています。

凸版印刷株式会社は、「印刷テクノロジー」をベースに、パッケージにおける環境配慮にもいち早く取り組んでおり、主にリサイクルPETフィルムについて伺いました。

「メカニカルリサイクルPETフィルム」を活用した各種包装材を開発

地球温暖化防止やプラスチックごみ削減など環境課題への関心が高まる中、各種メーカーの意識向上にともない、「循環型社会=リサイクル」に向けられた再生素材の需要は増加しています。そこで最も重視されるのは、安全性であり、まずはそれを立証した上で、取引先やユーザーの理解を得ることは必須です。
さらに開発した包装材の使用領域は、食品・飲料品、生活用品から医療・医薬品、産業資材などあらゆる分野に至り、これまで材料メーカーと多岐にわたり、共同開発を重ねてきました。凸版印刷では、環境配慮型製品ブランド「サステナブルバリューパッケージ®」を展開する中で、「メカニカルリサイクルPETフィルム」を活用し、独自の蒸着・コーティング技術を施した「メカニカルリサイクルGL FILM」など各種包装材を開発。この「メカニカルリサイクルPETフィルム」とは、使用済みPETボトルを粉砕・洗浄した後、高温で溶融・減圧・ろ過などを行い、リサイクルしたPET樹脂を使用したフィルムで、一般のPETフィルムと比べ、製造時におけるCO₂排出量を24%削減でき、リサイクル樹脂の使用比率は80%を実現。また強度、透明性などは、今までと同等の性能となっています。これを従来の紙パック製品「EP-PAK」の内装フィルムなどにも使用し、よりリサイクル適性を向上させたラインアップを提供しています。

メカニカルリサイクル GL FILM

回収PETボトルをメカニカルリサイクルしたPETフィルムに、凸版印刷独自の蒸着・コーティング技術を施したフィルム。再生樹脂の使用比率は80%を実現しながら、従来の透明バリアフィルムと同等のバリア性能を持っています。

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