(2020年1月30日 取材)
群馬県南東部にある邑楽郡大泉町は、人口約4.2万人。面積は県下最小でありながら、企業活動が盛んで、現在でも年々人口が増加しています。ブラジルやペルー、ネパールなどからの外国人が多く移住し、人口の2割近くを占めることでも、全国的にも知られています。
大泉町では、30の地区ごとに「ごみステーション」が設置され、ステーションの管理などは、各地区の生活環境委員が対応しています。資源物は、回収前日に「ごみステーション」に置かれる専用のコンテナに入れることで、回収されます。PETボトルの回収は2000年から実施しており、当初は、びんと缶との混合収集でしたが、2004年からは、単独で回収されています。また、2016年からは、ラベルもはがした状態で回収されるようになり、一市三町(太田市、大泉町、千代田町、邑楽町)の資源物が集まるリサイクルプラザのPETボトル全体が品質調査でも高い評価を受けています。
大泉町では、ごみの出し方を、町の広報誌やごみ収集カレンダーなどに掲載しています。町の人口の約2割を占める外国人向けには、ポルトガル語を中心に他言語で表記しています。広報誌は、公共施設の他に、外国人が利用するスーパーマーケットなどに設置しています。ごみ収集カレンダーは、区長や生活環境委員を通して、年1回、環境整備課の窓口などで随時配布。さらにベトナム人移住者が多い現状に合わせ、対応表を作成しています。ごみ出しのルール表記は、各ステーションにおいて設置され、ポルトガル語でも表記されます。こうした資料は、町の多文化協働課通訳職員が翻訳しています。最近では外国人技能研修生へのごみ出しレクチャーを行っています。
大泉町では、利根川の河川敷清掃と、道路を清掃する「町内クリーン大作戦」を各年1回開催。また、清掃イベントには多くの外国人居住者も参加しています。外国人学校ではPTAが中心になり、廃品回収を実施しています。こうした活動に対し町では奨励金を給付しています。
大泉町外二町清掃センターでは、小学生向けの施設見学が行われています。また、町内クリーン大作戦と同時に開催される環境フェアーでは、エコバックづくりや、小・中学校、ブラジル人学校の児童や生徒による「ポイ捨て防止ポスター」の作品展示を行うなど、子供に対して重点的な環境教育を行うことで、大人への意識改革にも努めています。
大泉町で回収したPETボトルは、太田市をはじめとする一市三町で運営する「太田市外三町広域清掃組合リサイクルプラザ」で処理されます。2004年に開業した、資源物や不燃ごみなどの分別を行う施設です。地下1階から地上2階までの建物で、狭いエリアでも高く積み上げて処理できる構造。ごみを貯蔵するコンテナ搬送装置や、圧縮梱包装置、太陽電池など、当時の最新設備があります。
資源物は、PETボトル、その他プラスチックなど4種類に分かれます。回収した資源物は、コンテナに投入、貯蔵します。その後、その他プラスチックのみ破袋、それぞれ不適物が手選別され、圧縮、ベールとして貯蔵し、一定量貯まると再生工場へ運ばれます。圧縮したベールは一辺1.1mの立方体になり、PETボトルの場合、ベール1つあたり2Lの容器で約5千本、 500mlの容器で約7千本、重さは約220kgになります。次々とクレーンで高く積み上げ保存され、32個貯まると再生工場へ出されます。 2018年度の回収量は約548トンになります。一方、その他プラスチックは約521トンで重量は近いものの、PETボトルより圧倒的にかさが大きいです。
最近、回収されたPETボトルにその他プラスチックが混在している事例が多発しており、分別の手間を考えると焼却処分するしかないことが課題だと言います。また、PETボトルにキャップやラベルがついている場合は手選別で取り除きますが、ほぼ外れた状態だそうです。PETボトル品質調査結果は、毎年Aランク。検査員から「全国的に見てもきれい」とのコメントを受け、多くの再生商品に活用されています。