PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.38

PETボトル資源循環へ 一人ひとりができること 有効利用率98% 100%へのカギは?

「2030年度までにPETボトルの 100%有効利用を目指す」
清涼飲料業界が PETボトル資源循環宣言で掲げた目標に向けて、今わたしたちが資源循環をどう捉えるべきか、家庭ごみとして排出されるPETボトルのリサイクル運営業務を行う日本容器包装リサイクル協会と、宣言を行った全国清涼飲料連合会に伺いました。

視点1 リサイクルの「可視化」をマネジメントする

「容器包装リサイクル法(以下容リ法)」が何を課題としているのかを啓発し、分別回収を推進していく社会作りを。

前川 惠士 氏

業務執行理事 前川 惠士 氏

公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会

 日本容器包装リサイクル協会は容リ法に基づき、市町村が分別回収した資源を再商品化事業者へと受け渡すマネジメントを行っています。平成30年度PETボトルの引取実績量は21万トンで、1人当たり2.1kg、500ml換算で約84本でした。来年度も全国市町村から同量の申し込みをいただいています。私たちがマネジメントに入るメリットは何かというと、回収された資源が「何に生まれ変わっているか」を一元管理でトレースし、リサイクルを可視化し、分かりやすく提供できるところにあります。
 たとえば、再商品化事業者から利用事業者に出荷された伝票と利用事業者の受け取り伝票の突き合わせを実施し、再商品化されたフレークやペレットが何に生まれ変わっているかを月次単位で確認しています。この集計が年次レポートでの基礎データとなります。

ベール品質の向上のため

 私たちを介さず、独自処理を行う市町村も資源が何に生まれ変わっているのかを市民に情報公開する責任を負っているわけですが、そこまで行き届いていない自治体が多いのが実情です。リサイクルの結果が見えることは、分別回収のルールを守るモチベーションにもなりますし、PETボトル分別基準適合物(ベール品)の品質ランク向上にもつながるため、指定法人ルートへの円滑な引き渡しを増やすべく、各市町村への働きかけを続けています。他にも再商品化に影響を与える「容易に分離可能なラベル付きPETボトル」について、平成30年からベール品質評価項目に追記することで、自治体から「ラベルをはがして捨てる」ことへの啓発を促していただきました。ラベル・キャップの分離とすすぎを啓発することで、質の高いリサイクルを推進していきます。

関連団体との情報・課題共有

 またリサイクルに不適切な包装仕様について情報共有を行い、メーカーや流通ルートにも協力を呼びかけています。容リ法施行前は一般廃棄物の排出量が年々増加し、埋立処分場の残余年数が8.5年と廃棄物行政にとって非常に厳しい時代でした。これが家庭から排出されるごみにおける全容積の約6割、重量の約2~3割を占める容器包装廃棄物について、その3Rを消費者・市町村・事業者の役割分担で進めることで、残余年数は現在21.8年にも延びました。リサイクルに適した容器包装を推進することで、この結果を上げていきたいと思います。これからも、日本を循環型社会の未来に向けて先導する役割を真摯に果たしていきたいと思います。

私たちにできること

三菱王子紙販売株式会社 青木伸一さん

三菱王子紙販売株式会社
青木伸一さん

PETボトルのリサイクルは驚異的に高い。プラスチック全体から見ると優等生ですね。一人ひとりの選択の変化から環境は変わります。一緒に考えていきましょう。

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