PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.38

100%有効活用のために

秋野 卓也 氏

秋野 卓也 氏

PETボトルリサイクル推進協議会 専務理事

日本におけるPETボトルは、77年に醤油容器としての採用が始まりです。その後、82年に食品衛生法が改正され清涼飲料に使用できるようになりました。当初は大型ボトルに限って販売し、96年に自主規制を解き小型ボトルの販売が始まりました。一方、PETボトルリサイクルは、82年から調査・研究を開始し、92年にはリサイクルし易いPETボトルの自主設計ガイドラインを設定、93年には業界が出資して初めての大規模PETボトルリサイクル施設が稼働しました。これと同時に、飲料、醤油、酒類メーカーとボトルメーカー、PET樹脂メーカーが参画したPETボトルリサイクル推進協議会が設立されました。これまでの協議会の取り組みや持続可能な資源循環に向けた視点について秋野専務理事に伺いました。

 今ではリサイクルの優等生と言われるPETボトルですが、そもそも清涼飲料水への全面的な導入も、業界としてリサイクルの道筋がついてから本格的に始めるなど慎重でした。

単一のモノマテリアル化へ

 1992年に制定した「PETボトル自主設計ガイドライン」では、リサイクルの品質を向上するために、何度も統一規格を作り直してきました。そうした業界としての自助努力を続けてきた結果、現在 PETボトルは、単一素材でリサイクルし易く、衛生的で安全・安心な容器になりました。海外のPETボトルはブルーやグリーンなどの着色が多くみられますが、日本はガイドラインで着色ボトルを禁止し、ピュアリティを上げていきました。その結果、再生したPET材料は透明で純度の高い優れた特性を持ち、飲料のボトルやスポーツウェア等、付加価値の高い高度なリサイクルが出来るようになりました。また、軽くて丈夫で、透明性にすぐれ中身がよく見えることが容器として支持され、清涼飲料水の消費底上げに貢献したのは皆さんご存知の通りです。

使命感が資源循環を加速

 PETボトルは熱回収を含まない、純然たる資源循環であるリサイクル率で84.6% を達成しています。これは、何よりも材料リサイクルにしっかりと取り組まなくてはならないという使命感が、 PETボトルに関連する業界全体で持っていたからだと思います。リサイクルの推進に関して、業界全体で一致協力し、自主基準と自主行動計画を立てて取り組みを行い、その結果を公表してきました。そして、昨年に新たな目標「PETボトルの 100% 有効利用」を設定しました。今後も行政、消費者の皆さんとの連携を重視し、資源循環のために必要な改善を行っていく事が必要です。また、海ごみなどの散乱問題はポイ捨てなどの廃棄物管理の問題です。決められた場所にきちんと排出してもらえば、しっかりリサイクルできるシステムが出来ています。引き続き分別排出の啓発活動を行っていきます。

持続可能な資源循環を

 「ボトル to ボトル」の取り組みは PETボトルそのものに再生 PET 樹脂を使うもので、新たな石油資源の投入を減らすことができます。資源循環として理想的な状態であり、更に進展することが望まれます。しかし、これだけではなくシートや繊維などへの多様なリサイクルも重要と思います。需要と供給のバランスを見ながら、多様性を確保した持続可能なリサイクルシステムを構築していく、それが様々な社会変化に対応できるシステムとして重要なことです。
 そういった視点が今こそ必要だと思います。

PETボトル自主設計ガイドライン(1992年制定)

私たちにできること

お茶の水女子大学 上野美紅さん

お茶の水女子大学
上野美紅さん

PETボトルは正しく分別すれば貴重な資源になります。便利でおいしいPETボトル飲料を、これからも変わらず利用し続けるために、自分ができることを1つずつやっていきたいです。

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