PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.37

会員企業訪問

「日の出ブランド」の製品

色つきのPETボトルを透明化

キング醸造株式会社

 「日の出みりん」ブランドで知られるキング醸造株式会社は、1961年に設立。1900年創業の造り酒屋を起源とする企業で、兵庫県加古郡稲美町に本社・工場があります。「料理酒」の容器にリサイクルのできるPETボトルを採用、業界を主導して活動。業界全体が評価され、2016年度3R推進功労者等表彰の農林水産大臣賞を受賞しました。

PETボトルのメリットに早くから注目して導入

 キング醸造株式会社は、みりん風調味料、料理酒、本みりん、清酒などの製造販売をしています。日本では1977年に初のPETボトル使用商品が販売されましたが、同社も1980年にはPETボトルを採用。1時間7,200本製造できるラインを導入。「軽い、運びやすい、割れないという主メリットに先見して気づいた当時の経営陣に頭が下がります。」と生産本部本部長佐々木氏は語ります。
 そのような柔軟な姿勢は業界各社が共通のDNAとして持っていたこともあり、業界一体となって行った料理酒のPETボトル透明化にもつながりました。

料理酒のPETボトル透明化でPET表示可能に

 従来、アルコール発酵調味料の一種である料理酒は緑の着色PETボトルを使用し、PETボトルにもかかわらず色が付いていることで資源有効利用促進法ではプラスチック容器包装として区分されていました。そして、本みりんや料理用清酒などは、料理酒と同型で透明PETボトルを使用し、PETボトルとして区分されます。そのため、料理酒の容器回収時には緑色の容器がプラスチック容器として分別されていました。
. 料理酒の容器に着色PETボトルを使用したのは、製造ロットごとの内容液の外観上の色のばらつきや、光を遮断し変色を防ぐことに適していたからです。消費者にも料理酒は緑色というイメージが定着していました。しかし、キング醸造が委員長を務める全国みりん風調味料協議会および全国発酵調味料協議会は、業界一体となり透明化に着手。各社は内容液が変色しにくい製造工程への変更や製造技術を導入し、PETボトル区分を目指して2013年に透明PETボトルへの変更を実現しました。キャップやラベルの色で本みりんは金、みりん風調味料は赤、料理酒は緑として中身の誤認を防ぐ工夫も。これらの活動が評価され両協議会は2016年度3R推進功労者等表彰(3R推進協議会主催)の農林水産大臣賞を受賞。2017年には、PETボトルの区分に変わりました。これにより、市町村による分別コストやリサイクル時のCO₂削減などの効果も出せたカタチになります。

洗米廃水の削減などさまざまな課題にも取り組む

 キング醸造も、料理酒について活性炭や温度による色の制御、生産時期を寒い季節にまとめて作る型から年間を通しての製造に変えました。その他にも清酒や料理酒の原料となる米を洗う際には、洗米廃水を減らすため7~8割の糠を乾式の方法で除去するなどをして環境に配慮しています。また、酒粕やみりん粕は、伝統的に漬物屋で奈良漬の原料などに活用。今後は、酒粕に残るデンプンや繊維分を可能な限り酒として利用し、酒の生産率の向上および廃棄物を減量させることが「当たり前のテーマ」。そして同時に、PETボトルの軽量化の推進や分別の際にキャップが硬くてはずしづらいという高齢者のご意見などを受けてキャップの改善にも取り組んでいるようです。
 少子高齢化が進み、忙しくて料理に手をかけられない主婦も増えるなか、「家庭向けの調味料の売上は伸び悩んでおり、その分20Lや1,000Lという業務用の販売でカバーしていますが、どうしたらよいか議論を続けており、社内ではコミュニケーションを大事にしています」と佐々木氏。人の仕事や思いの伝え方を考える企業文化が育っているそうです。また、飲み会や食事会の場を積極的に作り、毎年行われている社員旅行には普段離れた全国の従業員270人中大多数の人が揃い懇親を深めています。互いの関係を大事にしたより円滑で創造的な仕事が、先進的で実践的な課題解決につながっているのかもしれません。

(2018年12月12日取材)

キング醸造を代表する「日の出ブランド」

キング醸造を代表する「日の出ブランド」

新旧製品を前にPETボトル透明化を語る佐々木本部長

新旧製品を前にPETボトル透明化を語る佐々木本部長

(左より)尾住氏、佐々木氏、河野氏

(左より)尾住氏、佐々木氏、河野氏

生産本部本部長
佐々木 利容
第一製造部業務課 リーダー
河野 敏行
第二製造部管理課 リーダー
尾住 英樹

キング醸造株式会社

本 社: 兵庫県加古郡稲美町蛸草321
TEL.079-495-0010(代表)
設 立: 1961年
従業員: 270名[2019年3月時点]

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