PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.37

再生樹脂利用事業者紹介

「安心・安全・エコ・こだわりニッチ」

アートナップ株式会社

「環境良品®」でPETボトルの再生品樹脂を使用

 再生PET製カップを販売するアートナップ株式会社は、ユネスコ無形文化遺産指定・本美濃紙の技術を受け継ぐ岐阜県美濃市に本社を構える企業です。多彩な行楽用品の開発販売とあわせて、約30年も前から高い先見性をもって環境対応に取り組んできた同社。
 レジャーなど暮らしのさまざまなシーンで目にする、プラスチック製や紙製のトレーやカップ、紙ナプキンなどの行楽用品の中で、「環境良品®」というシリーズを展開し、再生PETや間伐材を使用した商品を取り扱っています。
 「便利で文化的な生活を考え、使い捨て商品の開発をしてきた当社。その結果、エネルギーが消費され、ごみの山も作り出してしまうのではないか」と懸念してきた森社長。「環境問題にも対応しなければ」という思いのもと、取り組みを模索してきました。再生PETについては、「カップも作れると商品の製造で取引がある竹内産業(特殊用途の商品開発・消費者向け商品開発・生産・販売)さんに聞き、渡りに船とばかりに導入を即決しました」。約300商品が並ぶ同社のカタログのトップには、「環境良品®」を掲載し、PETボトルリサイクル再生商品の案内もしています。

「安心・安全・エコ・こだわりニッチ」約30年前から環境対応

製品について語る森社長

製品について語る森社長

 環境への取り組みは、すでに30年前には始まっていました。1991年に独自で作成した数十ページに渡る資料には、「サスティナビリティ」「環境マーケット」といった、当時はまだ社会に浸透していなかった言葉が掲げられ、その先見性がうかがえます。「環境対応には、負担も伴います。でも、コストがかかり在庫にもなってしまうが必要なこと」と考え、社内でもそう言い続けてきました。
 掲げる理念は、「安心・安全・エコ・こだわりニッチ」。たとえば、現在の日本でも、海洋ごみなどの問題を受けて紙ストローの輸入が増えるなか、当社は国産の紙ストローにこだわり続けています。プラスチック製の約10倍の価格にもなる紙ストローですが、「日本製が安心だと言って価値を感じて購入する人は、大多数ではないが確かにおられます。“こだわりニッチ”というのは、そこなのです」。

PETボトルリサイクル推奨マークを取得・消費者にも伝えていく

 再生PETを25%使用した「クリアカップ」や「ビールカップ」は、PETボトルリサイクル推奨マークの認定を、2016年に取得しています。認定を取得する際、同社でも原料の再生工場まで足を運び、純度の高い安全な樹脂が再生される様子を実際に確認しています。
 「軽くて丈夫で透明性が高くて美しい上に、CO2排出を減らせて再生もできる。そのPET樹脂で商品を作れるとは、本当にありがたい」と森社長は、技術を開発してきたメーカーへの感謝を述べます。推奨マークの認定は、「責任をもって商品を販売し、消費者にも情報を伝えていく」という思いで取得し、商品パッケージの裏に大きなスペースを使って、PETボトルのリサイクルの説明を施しています。

PET製品の新しい可能性を追求続けることで「当たり前」に

 今後も、PET樹脂の透明感や柔らかさ、軽さなどを考えた商品を開発し、PET製品の可能性を広げていきたいと考えています。現在、独自開発した繰り返し使えるバージン素材のPET製カップ「OVOSシリーズ」を展開。おしゃれさも意識したデザインで、リゾート地や飛行機などでも活用されています。また、PET樹脂の商品にレース柄などのプリントや、他素材とPET樹脂を貼り合わせるような加工などが可能になると、商品展開はもっと豊かになります。「ゆくゆくはそれらも再生PETで作りたいですね」。
 しかし、その実現には、技術開発を待つとともに、リサイクルにあたっての課題も考えなければなりません。環境への思いを実現することについて、「時間はかかりますね。しかし、長く続けていくことで、今はまだ新しい取り組みも、5年後には当たり前になっているのではないでしょうか。また、そうしていかないといけないですね」と森社長。今後の同社の商品開発に注目です。

(2018年11月27日取材)

代表取締役社長
森 昌美
営業部
尾上 雅発
竹内産業株式会社

営業部 部長
染野 雄一郎

アートナップ株式会社

本 社: 岐阜県美濃市殿町1436
TEL 0575-33-0940(代表)

設 立: 1977年

アートナップ社製品とPETボトルリサイクル推奨マーク認定書

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