PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.37

再商品化事業者紹介

ジャパンテック株式会社

PETボトルからPETボトルへの
リサイクルを実現資源の国内循環を訴える

ジャパンテック株式会社

 業界をリードする最新技術でPETボトルからPETボトルへのリサイクルを実現した協栄産業グループ。
今回、その一角を担うジャパンテック株式会社 東日本PETボトルMRセンターで、代表取締役会長 古澤栄一氏にお話を伺いました。

夢をかけて「FtoP」までも実現

 1985年の協栄産業創業時にPET樹脂に出会い、「ピュアな単一素材なので、もう一度PETボトルに戻せるのではないか」と、「ボトルtoボトル」水平リサイクルの可能性に早くから注目した古澤会長、その実現を夢みて研究を重ねてきました。そして、独自のメカニカルリサイクルで、使用済みPETボトルをバージン原料と同等のレベルに再生した樹脂「MR-PET®」を生み出すことに成功。2011年にサントリー食品インターナショナル(株)の「烏龍茶」、翌2012年にはキリンビバレッジ(株)の「生茶」に採用されました。現在、「MR-PET®」が100%で製造された飲料ボトルが年間約15億本流通しています。
 2014年頃には「フレークからダイレクトにプリフォームを作る」考えを協栄産業が提案し、サントリーホールディングス㈱と装置メーカーEREMA(オーストリア)、SIPA(イタリア)の4社共同で技術開発に取り組みました。2018年には、使用済みPETボトルからプリフォームを直接作る「FtoPダイレクトリサイクル技術」が、協栄産業㈱東日本FtoPファクトリーで実現。最新の機械で、年間約3億本のプリフォームが作られています。
 協栄産業グループではこれまでも「ボトルtoボトル」リサイクルで石油からPETボトルの原料を作った場合と比較し、約63%のCO₂削減効果を上げてきましたが、この「FtoPダイレクトリサイクル」技術ではさらに約25%のCO₂を削減できるそうです。
 この成果を認められ、「ワールドスターコンテスト2019」ワールドスター賞や、「日本パッケージングコンテスト2018」適正包装賞、「第28回地球環境大賞」フジサンケイグループ賞を受賞しました。

使用済みPETボトルは「都市油田」

 同社は、使用済みPETボトルをはじめとする廃プラスチックを、都市から湧き出る貴重な「都市油田」と捉え、 有効に活用しています。
 日本でも、消費者、行政、飲料メーカー、容器メーカー、そしてリサイクル企業が一体となって資源の循環を進めてきました。日本で回収される使用済みPETボトルの多くが資源として海外に輸出されているなか、関係各所と意見交換しながら、「使用済みPETボトルは国の大切な資源」と古澤会長は訴え続けてきたとのことです。
 世界各国で環境問題がより重要性を増す中、「海外にPETボトルリサイクルの依存をしたりせず国内循環して上手に活用を」と語ります。
 PETボトルリサイクルには、新たな石油資源の利用抑制効果の他、CO₂排出の削減という価値があることも、同社の数値を使った研究でわかりました。PETボトルリサイクルが、廃棄物処理だけでなく資源環境制約にも対応することがデータで認められたのです。このような同社の取り組みは「ものづくり白書」(2010年版)にも掲載されました。

高品質なリサイクル原料を
提供していく

 日本の産業や地球環境のためにもPETボトルの国内循環が大切で、それを成り立たせるには、ボトルtoボトルの実践が有効だと考えてきた古澤会長。今後については、「PETボトルの再生品のための市場の開拓と、それに対応できる品質の原料を、見合った価格で提供していくことも不可欠」と言います。
 ジャパンテックに集められた使用済みPETボトルはリサイクルされ、飲料ボトルのほか、プラスチック容器、薄さ12ミクロンのフィルム、サッカーワールドカップのユニフォームにもなった長繊維など、幅広く多様な用途で活用されており、素材としての可能性を拡げ続けているところです。
 また、ジャパンテックは、地域の学校や子どもたちに対しても、PETボトルリサイクルについての教育支援などを積極的に実施。リサイクルとともに理解の輪も広がっています。

(2018年11月8日取材)

代表取締役社長
古澤 栄一

ジャパンテック株式会社

本 社: 栃木県鹿沼市深程990-30(本社・宇都宮工場)

設 立: 1992年

従業員: 84名[2019年3月28日時点]

TOP