PETボトルリサイクル推進協議会 広報誌 RING Vol.37

資源循環型社会形成を目指して

東京都目黒区

(2018年12月20日 取材)

 東京23区の南西部に位置する目黒区は、人口約28万人。東京大学駒場地区キャンパスや東京工業大学などの大学や中目黒・自由が丘周辺など広域な商業地を有しています。

PETボトルの品質調査ではA評価を維持

 PETボトルは、週1回の分別回収。キャップとラベルを外して軽くすすいでつぶし、専用ネットか中身が見える袋で区内約2万ヶ所の集積所に出してもらいます。回収したPETボトルは、京浜島にある中間処理施設へ持ち込み、そこで自動破袋機、自動選別ラインの順に処理されます。選別ラインは飲料缶が混在していても磁気でスチール缶、渦電流でアルミ缶を選別できる仕様です。
 目黒区の回収PETボトルは区民がキャップをとって、ラベルをはがしている割合が高く、きれいに洗われていますが、さらに選別ラインでは手選別で不純物を除去し、圧縮機でベールにして指定業者へ渡します。回収量は、2017年度の確定値が約1,030トンで、前年の約998トンに比べて増加。毎年の品質調査ではAランクを維持しており、品質の高さがうかがえます。

リサイクル推進都市宣言!区民と行政の努力の相乗効果

 「リサイクルの目黒」と謳い、1993年よりリサイクル推進都市宣言を掲げていますが、それ以前にもびん・缶等の分別回収モデル事業など、全国や東京23区に先駆けて「やれることはする」の姿勢で進めてきました。清掃・リサイクルにかける年間予算も全体の約900億円のうち約40億円と、力が入れられています。
 PETボトルのキャップやラベルの取り外しは、品質調査の採点項目に加わった2018年以前からすでに実施していました。リサイクルに対して意識が高く、徹底した分別を自発的にする区民が多く、その上で、ごみの排出や資源の分別に問題がある場合は、清掃事務所の職員が対応。集積所で排出者本人や集積所の利用者を確認し、チラシや対話などで説明する努力も続けてきました。清掃行政を支援する自主的な組織である清掃協力会による、集積所の管理や清掃など常に行われています。

「MGR100」を合言葉に1人1日100グラムのごみ減量をめざす

 2016年からは目黒区一般廃棄物処理基本計画の取り組みとして、「M(目黒)・G(ごみ)・R(リデュース)・100グラム」の「MGR100」を合言葉に、「1人1日あたり100グラムのごみ減量」も呼びかけています。これにより、区全体で年間約1万トンのごみが減る計算です。さらに、燃やすごみに含まれる古紙など2割の資源化を促すことで、目黒区の現在のリサイクル率は、独自換算で約26%と東京23区内でも高い水準ですが、さらに約32%まで引き上げる目標を立てています。
 具体的には、ごみ減量アイデアの募集などを展開。景品や応募結果のホームページ掲載などで区民や事業者に還元し、自発的な実践を促し具体的な実施例を紹介していく形です。2018年10月の区報では、ホームページ掲載者のその後として、ごみを減量しながらカレーを作るチャレンジを特集し、ホームページに動画も掲載。電話の問い合わせなど反響がありました。

区民の期待に応えて自発的な取り組みを促す

 外国人や若い単身者も多い目黒区では、区民への案内に、英語・中国語・ハングル版のパンフレットや、若い職員たちが自身のライフスタイルから考案した単身者向けのパンフレットも作成。子供に配布する資料の内容にも、子育て経験のある職員の声が反映されています。
 環境教育としては、清掃事務所による幼稚園・保育園から小中学校への年間30数回の環境学習の出張授業や、小学校2年生・4年生の全児童に資料を配付。小さな頃から段階的、継続的に学ぶしくみを構築し、リサイクル意識の育成や、周囲の大人への働きかけによる効果なども期待しています。出張授業では、子供に人気のキャラクターや荷箱の側面を透明化した清掃車などを用意。小学校2年生向けにはPETボトルリサイクルについての漫画仕立ての冊子、4年生には、環境学習の授業にあわせた冊子を作成しています。職業体験授業に訪れた中学2年生から、自分が受けた出張授業の思い出やリサイクルへの思いなどを、告げられることもあるそうです。
 「今後も、区民の方々の期待にお応えできるよう気を引き締めて、区民や事業者の能動的な取り組みを要請しつつ、更なるごみ減量、資源回収に取り組んでいきます」と秋田課長。今後の目黒区の取り組みが期待されます。

目黒区清掃リサイクル課長
秋田 直宏
同課 管理調整係長
伊藤 悟
同課 計画普及担当係長
金子 ユカリ
目黒区清掃事務所長
大迫 忠義
目黒区清掃事務所 作業係長
松江 良三
(左から) 大迫氏、秋田氏

(左から) 大迫氏、秋田氏

(左から) 金子氏、松江氏、伊藤氏

(左から) 金子氏、松江氏、伊藤氏

保育園での環境学習

保育園での環境学習

幼稚園での環境学習

幼稚園での環境学習

京浜島の中間処理施設

京浜島の中間処理施設

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